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Carole Bayer Sager 「…Too」 (1978)

私の大好きなキャロル・ベイヤー・セイガーのセカンド。
彼女の最高傑作は、間違いなくバート・バカラックとタッグを組んだサードアルバム「Sometimes Late At Night」かと思いますが、今回はバートとタッグを組む前、デヴィッド・フォスター等とのコラボが楽しめるアルバムをご紹介致します。
作詞家としてのキャロルのキャリアは相当長く、1968年に大ヒットしたマインドベンダーズの「A Groovy Kind Of Love」は彼女の作品だったりします(エイティーズ世代であればご存じの、フィル・コリンズがカバーしてヒットさせた曲です)。私が大好きなモンキーズにも提供している作品がありますね。ちなみに80年代にもクリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」とか、ディオンヌ・ワーウィックの「愛のハーモニー」とか、いい作品を発表し続けてます。

キャロルは、恋心を絶妙に表現する作詞家であり、このアルバムにはメリサ・マンチェスターデヴィッド・フォスターブルース・ロバーツピーター・アレン等が作曲者としてキャロルとコラボしております。

アルバムトップはメリサとのコラボで、とてもジャージーなバラードの①「To Make You Smile Again」。アルバムトップの曲というより、エンディングにぴったり。オーケストラ・アレンジはドン・コスタ。完全にムーディーなジャズな世界ですね。

②「It's the Falling in Love」は恐らく本作中では一番有名な曲。如何にもデヴィッド・フォスターらしいAORの佳曲。この曲、マイケル・ジャクソンに提供した楽曲としても有名ですね。
イントロのコーラス、一発でマイケル・マクドナルドって分かりますね。マイケル&ビル・チャンプリンのコーラス隊です。ドラムはエド・グリーン、ベースはデヴィッド・ハンゲイト。切れ味鋭いギターは意外にもスティーヴ・ルカサーです。このミュージシャンが奏でる音ですから、完全なAOR、しかもキャッチーな…。デヴィッドのベースが唸りを上げて、実にファンキーです。

アリス・クーパーってご存知ですか? 奇抜なメイクを施すロッカーですよね。実は④「Shadows」は盟友ブルース・ロバーツとアリス・クーパー、そしてキャロルの共作。アリス・クーパーですよ?(笑)。
実はこの1978年、アリスはデヴィッド・フォスターのプロデュースでアルバム「From The Inside」を発表してます。その繋がりでの共演かと思うのですが、それにしても意外な感じ。しかも楽曲はブルースのピアノをバックとしたバラード。楽曲も意外。

デヴィッド・フォスターとのコラボはもう1曲収録されてます。それが⑧「I Don't Wanna Dance No More」。私はこっちの方が大好き。なぜならドラムが私の敬愛するジェフ・ポーカロなので。彼の跳ねるドラムらしく、グルーヴ感が抜群。ギターはルカサーとジェイ・グレイドン、ホーン・アレンジは当然ジェリー・ヘイ。AOR全盛の頃の、勢いのあるサウンドです。

エンディングはしっとりと。⑩「I'm Coming Home Again」、ブルース・ロバーツとの共作。決して上手くはないけど、ハスキーなヴォーカルのキャロル。こうしたバラードを歌わせたら、実に味があって、胸に染みます。

アルバムジャケットも印象的な本作、如何でしたでしょうか。デヴィッド・フォスター以外の作品は、AOR指数は低いですが、美しい曲ばかり。この後、キャロルはバート・バカラックとの蜜月時代に入り、素晴らしいサードアルバムを発表します。

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