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The Monkees「Instant Replay」(1969)

3人となったモンキーズの7作目。ソフトロックの名盤!

60年代に活躍したモンキーズも、昨年12月にマイク・ネスミスが亡くなり、ついにミッキー・ドレンツ一人となってしまいました。
そのモンキーズ、彼等が発表したアルバムはどれもクオリティが高く、もっと評価されてもいいなあと常々思っております。

1969年2月発表の本作は、メンバーの中でもひょうきん者であったピータートークが抜け、3人組のモンキーズとなって初めて発表されたアルバムです。
1966~1969年までの未発表音源を集めたような作品であり、残念ながらまとまりに欠けるアルバムです。メンバー各々が好きな楽曲を持ち寄り、レコーディングメンバーも違うとあってはしょうがないでしょう。

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それでもこのアルバムは素敵な輝きを放っております。
私がそう思う主な理由は2点あります。
1点目は当然いえば当然ですが、マイク・ネスミスのオリジナル曲の素晴らしさ。モンキーズという作られたグループのなかで、必死に独自の音楽を追求していったマイク。3人組となって、いよいよ本領を発揮していきます。

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まずはマイクのオリジナル作品の⑥「Don't Wait for Me」。
スティール・ギター、バンジョーが入った完全なカントリーロック。これは何も知らない方が聴いたら、モンキーズとは分からないでしょう。モンキーズというより、完全にマイクのソロ作品と言っていいでしょう。哀愁漂う名曲です。

そしてこちらもマイク作の⑧「While I Cry」。
フォークロックっぽい佳曲。メロディ、ギターのアルペジオが美しく、よく練られた曲。これもマイクらしい曲ですね。

ちなみにボーナストラックである⑭「Carlisle Wheeling」(もちろんマイクの自作)は、後にマイクのソロアルバムで収録されることとなる、これもカントリーロックの名曲です。

さてもうひとつの注目すべき点。それはソフトロックの佳曲が収録されていることです
まずはキャロル・セイガー&ニール・セダカ作の⑩「Girl I Left Behind Me(恋の思い出)」。
切ないメロディラインがモンキーズの楽曲らしく、非常に名曲然としたポップスに仕上がってます。こうしたポップスはディビー・ジョーンズのヴォーカルがピッタリです。

そしてゴフィン&キングの名曲⑪「Man Without a Dream(夢のない男)」。ボーンズ・ハウのプロデュースでベース(ジョー・オズボーン)、ドラム(ハル・ブレイン)、キーボード(ラリー・ネクテル)といった、ソフトロックの黄金ミュージシャンが演奏に携わった素晴らしい曲。こちらも甘いディビーのヴォーカルが光ります。
同時期にキャロル・キング自らが、シティでセルフカバーしておりました。

そして本当の白眉はボーナストラックの⑬「Someday Man」。これはロジャー・ニコルズ&ポール・ウィリアムズ作の名曲で、「夢のない男」と同じくボーンズ・ハウのプロデュース。素晴らしいグルーブ感(ジョー・オズボーンのベースが最高です)とホーン・アレンジで、ソフトロックの最高峰に位置するくらいの仕上がりとなってます。
私が本作を購入し、未だに聴き続けているのは、これを聴くためといってもいいくらいです。またまたディビーのヴォーカルが素敵です。

ビートルズの「ホワイトアルバム」に近い印象の本作。特にマイクは独自の世界を切り開き、カントリーロックの祖として、その後も活躍していきます。この後発表されたモンキーズのシングル「すてきなミュージック」はマイク作で、ヒットこそしませんでしたが、ブラスロックに影響を受けた曲で、未だに色褪せない名曲だと思います。

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