The Byrds「The Notorious Byrd Brothers」(1968)
適度にカントリーフレイバー漂う、バーズの5作目
1965年デビューのフォークロックの雄、バーズ。私が購入した初めてのバーズのオリジナルアルバムが本作でした(もちろん後追いですが)。
バーズはベスト盤をLPで所有していたので、彼らのヒット曲は概ね認識しており、「My back pages」、「You ain't goin' nowhere」等の中期作品がお気に入りです。
本作は、あのゲイリー・アッシャーのプロデュース!サーフィンミュージックをブライアン・ウィルソンと築いた人物ですね。当時ゲイリーはソフトロックの名盤、ミレニアムの「ビギン」にも関与してました。
その路線を期待していたのですが、①「Artificial Energy」には面食らってしまいました。
ブラスを主体にした当時流行っていたようなリズムを強調したサウンド。全くバーズらしくない。しかもこの曲だけ、ドラムのマイケル・クラークがソングライティングにロジャー・マッギン、クリス・ヒルマンと共に名を連ねています。
でもドラムを叩いているのはスタジオミュージシャンのジム・ゴードン。なんでもマイケルは、この曲の題名だけ考えた、との噂もあります。不思議な曲です。
マイケル・クラークは元々バーズに加入するまではドラムを触ったことがなかったと云われている人物。いまでも「下手なドラマー」として有名(?)です。でもその後もフライング・バリット・ブラザーズやファイアフォールといった有名バンドを渡り歩いており、ある意味ラッキーなドラマーかもしれません。
これ以降はバーズらしさが十分発揮された曲が並びます。
②「Goin' Back」は本作中、一番知られた曲でしょうか?
キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンのゴールデンコンビの作品をカバー。メロディアスな楽曲がバーズには合います。美しいコーラスとフォークロック的アレンジ。いいですね。
スティール・ギターはやはり売れっ子スタジオ・ミュージシャンのレッド・ローズ。くどいようですが、レッド・ローズは後にモンキーズのマイク・ネスミスと素晴らしいカントリーロックのバンドを結成する人物です。この頃のスティール・ギターといえば、90%レッド・ローズですね。
④「Draft Morning」は途中のSEでも分かるように反戦ソングですね。
当時のベトナム戦争に対するものです。結構ベースが凄いです。これはクリス・ヒルマンでしょうか?
⑤「Wasn't Born to Follow」はまたまたゴフィン&キングの作品。適度にサイケ的アレンジも途中に施すなどしてますが、カントリー的なバーズらしい1曲。映画「イージーライダー」のサントラにも起用されましたね。
⑥「Get to You」は変拍子でフォーク調の佳曲。地味ですけど、こういう曲が本来のバーズらしさですね。
個人的には本作中⑦「Change Is Now」が一番好きです。
スティール・ギターがアクセントに入るカントリー調ですが、ラガ・ロック的なギターソロ、印象的なベース、これらは非常にオリジナリティ溢れてますね。
④~⑦の流れって結構お気に入りです。
本作制作途中にデヴィッド・クロスビーが脱退しましたが、ジャケットの馬はデヴィッドである、という話は有名ですね(本当かどうかは別にして)。デヴィッド・クロスビーも④⑨⑩で曲作りに参加しており、結構「らしさ」を発揮してます。デヴィッド・クロスビーは後にCSNを結成し、バーズより一段飛躍していきますね。
本作発表後、バーズは6作目でグラム・パーソンズを迎えて、ナッシュビルで名作「ロデオの恋人」を発表します。私はこの「ロデオの恋人」は、あまりにもカントリー色が強い(というかもろにカントリーミュージックなのですが)ので、微妙に好きになれません。やはりカントリー・フレイバーが微妙に漂う本作のほうが好きですね。
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