見出し画像

Lowell George「Thanks I'll Eat It Here」(1979)

1979年という年はリトル・フィート・ファンにとっては衝撃的な年だったでしょう。
同年、リーダーであるローウェル・ジョージのソロアルバムの発表、そしてリトル・フィートの解散声明。突然のローウェルの死・・・。

このアルバムを聴く限りにおいては、ローウェルが体調不良であったことは全く感じさせない力強いヴォーカルを聞かせているですが。

ご参考までに参加ミュージシャンを列挙しておきます。
Bill Payne(Keyboards), Bonnie Raitt(Vocals), Chuck Rainey(Bass),
David Foster(Keyboards), Dean Parks(Guitar), Fred Tackett(Guitar), Herb Pedersen(Vocals), JD Souther(Vocals), James Newton Howard(Keyboards), Jeff Porcaro(Drums), Jim Gordon(Drums), Jim Keltner
(Drums), Michael Baird(Drums), Nicky Hopkins(Keyboards), Paul
Stallworth(Bass), Richard Hayward(Drums)etc.

AOR系からSSW系までローウェルの華麗な人脈を連想させます。とても魅力的な方だったのでしょうね。

画像1

このアルバムの魅力は、なんといってもローウェルの多彩な音楽性と豪華なアレンジです。そして1曲目の①「What Do You Want The Girl To Do」がとても素晴らしい。
アラン・トゥーサンの名曲ですが、ボズ・スギャックスのカバーが超有名。気のせいかローウェルの声が、ボズの声になんとなく似ているように聴こえます。ボズより不器用であったローウェル・・・。でもここでのホーンを利かせたサザンソウル的な豪快なアレンジは、ボズのヴァージョンより断然かっこいい。
ちなみにこのアルバム、前述の通りゲストミュージシャンが相当数参加していますが、ジェフ・ポーカロ(Ds)もそのうちの1人で、恐らくこの曲のドラムはジェフではないかと思われます。

③「Two Trains」は自身のセルフカバー。フィートの「Dixie Chicken」(1973) に収録されていた強烈なサザンファンクナンバー。
ここでもその強烈なノリは健在です。

④「I Can't Stand the Rain」はサザンソウルシンガーであるアン・ピーブルズのカバー。ローウェルのヴォーカルも相当ねちっこく、ソウルフルに歌ってます。またアルバム全体ではローウェルご自慢のスライドがおとなしいのですが、ここではそのスライドギターが唸りを上げます。

カントリー系バラードに仕上がっている⑦「20 Million Things」は私のお気に入り。豪快にスライドギターを弾きこなすファンキーなローウェルもいいのですが、「Willin'」でみせたフォーキーなローウェルも捨てがたいものです。この曲と、続く⑧「Find a River」(盟友フレッド・タケット作)は実にフォーキーで味わい深い楽曲ですね。

ヴァレリー・カーターとのデュエット「Heartache」はこのアルバムのボーナス・トラックとして収録されております。これまたフォーキー路線で美しい1曲ですね。

結局ローウェル自身はソロアルバムを1枚しか発表せずに逝ってしまいました。彼が80年代以降、どういう風に音楽を「特別料理」していくのか、見ていきたかったものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?