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Linda Ronstadt「Silk Purse」(1970)

個人的にカントリーロックの祖、マイク・ネスミスが大好きなのですが、今回はそのマイクの楽曲を採り上げたリンダ・ロンシュタットをご紹介。
といっても私自身は彼女が在籍していたストーン・ポニーズのことはあまり知らず。イーグルス結成のきっかけとなった1972年発表の「Linda Ronstadt」以降、その後のアサイラムから発表されたアルバムしか聴いてませんでした。
本作は「Linda Ronstadt」の前作、1970年に発表されたセカンドアルバム。このアルバムの存在を知ったとき、最初にそのジャケのユニークさに驚いてしまいました…。

リンダが在籍していたストーン・ポニーズはフォーク色が濃いユニットでしたが、徐々にリンダもカントリーに接近。ファーストソロ発表後、セカンドについては、ジャニス・ジョップリンの紹介でエリオット・メイザーがプロデュースすることとなります。エリオット・メイザーといえばエリアコード615のプロデューサー兼エンジニア。カントリーのメッカ、ナッシュビルの名うてのミュージシャン集団ですね。
エリアコード615のアルバム「Trip In The Country」も素晴らしい内容です。当然、本作はエリアコード615のスタジオ、シンデレラ・サウンド・スタジオで収録。そしてクレジットはないのですがミュージシャンもエリアコードの面々(の筈)。リンダとエリアコード615の組み合わせですから悪い筈がありません。

まずはご挨拶方々いきなり歌が始まる①「Lovesick Blues」。
ハンク・ウィリアムスの代表曲ですね。リンダのパワフルな唱法、微妙に声が裏返るところなんかカントリーロックにピッタリ。フィドルやスティール・ギターがカッコイイ。

恐らくチャーリー・マッコイと思われるハーモニカが素晴らしい④「Nobody's」。ちょっとスワンプの香りがする哀愁漂う楽曲。作者はサーカス・マキシマムに在籍していたゲイリー・ホワイト。サーカス・マキシマムは「Mr.Bojangles」の作者としても有名なジェリー・ジェフ・ウォーカーが在籍していたバンドとして有名。このゲイリー・ホワイト、ある意味、後述しますが本作のキーマンのひとりかもしれません。

グレニッジ・ヴィレッジ出身のSSW、ポール・シーベル作の⑤「Louise」。フォーキーでのどかな雰囲気。ここでデュエットしているのもゲイリー・ホワイトです。

名バラードの⑥「Long Long Time」はシングルカットもされ、リンダの初のヒット作となりました。そしてこちらもゲイリー・ホワイト作。実はゲイリーって、ポール・シーベルとも活動していたようで、本作ではかなり貢献していると思うのですが、以降の彼の活動はよく分かりません。本来ならリンダと関わったJ.D.サウザーとかケニー・エドワーズとか、彼らのように有名になっていってもいいと思うのですが…。

⑨「He Dark the Sun」はディラード&クラークのカバー。後にイーグルスを結成するバーニー・レドンとジーン・クラークの共作ですね。バーニー・レドンはこの時期、コーヴェッツというカントリーバンドに在籍しており、そのコーヴェッツが当時のリンダのバックバンドを務めてました。コーヴェッツはバーニーの他、ジェフ・ハンナ、クリス・ダ―ロウ、ジョン・ロンドン等が在籍。モンキーズのマイク・ネスミスがプロデュースしたシングルも発表しておりました。そしてマイクはジョン・ロンドン、レッド・ローズ等とファーストナショナルバンドを結成…。この辺りのカントリーロック人脈も非常に興味深いです…。

後にリンダはアサイラムへ移籍して、商業的にも大成功を収めていきます。そんなリンダのサクセスストーリーを見ると、リンダを核に、彼女に魅了された才能ある男たちも「ギブアンドテイク」の関係で、成功していく姿が浮き彫りになってきますね。


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