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Nicolette Larson「Nicolette」(1978)

ここ数日、AORの名盤をご紹介するコーナーでは必ずリストアップされる本作をじっくり聴いてました。このアルバム、ニコレット自身が器用なヴォーカリストですから、収録されている楽曲もAORからフォーク、カントリー、サザンブギーまで幅広い楽曲が収録されてます。AORで一括りしてしまうには惜しいアルバムですね。

プロデューサーはテッド・テンプルマン。彼が手塩にかけて作り上げた感じが非常に伝わって来ます。このアルバムには Bill Payne(Keyboards)、Patrick Simmons(Guitar)、Paul Barrere(Guitar)、Fred Tackett(Guitar)、Herb Pedersen(Guitar)、James Burton(Guitar)、Bobby LaKind(Percussion)、Linda Ronstadt(Vocals)、Michael McDonald(Vocals)、Valerie Carter(Vocals)、Victor Feldman(Percussion)等の大物ミュージシャンが参加しています。ニコレットが如何に皆に愛されていたか、よく分かりますね。ジャケットの写真も非常にチャーミングです。

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ニコレット・ラーソンといえば、このデビュー曲①「Lotta Love」があまりにもインパクトが強いですね。アレンジが後期イーグルスっぽいので最初は気付きませんでしたが、実はニール・ヤングの作品。
アップした映像は「Lotta Love」に続いて「I Only Want To Be With You」が歌われます。懐かしい~。この曲は私が洋楽を聴き始めた頃、流行ってました。この曲がベイ・シティ・ローラーズにもカバーされていたことを知ったのはもっと後になってですが・・・(それにしてもニコレット、小柄ですね)。

ジェシ・ウィンチェスター作の②「Rhumba Girl」はモロにリトル・フィート。
強力なリズムはタイトル通りルンバを思わせます。もちろんここでのキーボードはフィートのビル・ペイン、そしてギターはポール・バレール。めちゃめちゃカッコイイです、この曲。

なんと③「You Send Me」はサム・クックの名曲のカバー。
見事にAOR的にカバーしてますね。R&Bをスマートにカバーするのはこの当時、ジェームス・テイラーやドゥービー・ブラザーズがよくやってました。そういった当時の機運を感じさせる1曲です。

そして④「Can't Get Away from You」。これはリンダ・ロンシュタットがやりそうなパンチの効いた1曲。
なんといっても骨太なギターのリフが印象的ですが、これはデビュー直前のエディ・ヴァン・へイレンの演奏。ギターソロなんかは音色がエディしてますね。さすがにライトハンド奏法は駆使してませんが・・・。
ヴァン・へイレンのデビューアルバムもテッドが手掛けてました。

完全なカントリータッチの⑧「Angels Rejoiced」。
デュエットしているのはハーブ・ペダーセン。ハーブ・ベターセンはブルーグラス系のシンガーソングライターで、グラム・パーソンズやエミルー・ハリスとの共演でも有名です。近年はクリス・ヒルマンと共に来日もしているようですね。
ニコレットのヴォーカルも本来はこうしたカントリー系の音楽に合っているような気がします。

更にカントリー指数の高い⑩「Come Early Mornin'」。
こうした楽曲は私の好み。バックヴォーカルはハーブにリンダ・ロンシュタット。初期のリンダがやっていたような軽快なカントリーです。印象的なドブロは名手・ジェームス・バートン。素晴らしい楽曲です。

そしてエンディングトラックは私の大好きな⑪「Last in Love」。
作者はJ.D.サウザー&グレン・フライ。後にJ.D.もアルバム「You're Only Lonely」でセルフ・カバーした名曲。哀愁漂う名唄ですね。

ニコレット・ラーソンは残念ながら1997年にこの世を去っています。晩年の彼女は商業的なヒットには恵まれませんでした。80年代の時代の流れを勘案すると、1978年というデビューは遅すぎた感もありますし、80年代のリスナーにはここで聴かれる素晴らしい音楽は求められなかったのかもしれません。残念ですね。

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