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Maxus「Maxus」(1981)

本作1枚で解散してしまったため一般的には全く知名度はありませんが、AORファンの間では有名なバンド、マクサス。この当時、特にギタリストのマイケル・ランドゥはスティーヴ・ルカサーのプレイに非常に似ていたことから、TOTOと比較されることが多いバンドでした。

この素晴らしいアルバムが永らく廃盤扱いだったのですが、1998年に日本で世界初のCD化が実現。本作はAORのアルバムレビューには必ずといっていいほど名盤扱いされていたので、AORファンの私としては、迷わず即買しました。
しかし当時、この音を聴いたとき、「これってAORかな~」と思ったものです。また楽曲もノー天気なポップスとは違い、ちょっとひねくれ気味のメロディについて行けず、戸惑ったものです。

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メンバーはジェイ・グルスカ(Vo)、マイケル・ランドゥ(G)、ロビー・ブキャナン(Key)、マーク・レナード(Bs)、ドーン・ペリー(Ds)の5人。ジェイはスリー・ドッグ・ナイトのバックバンドで活躍していた人物。マイケルはボズ・スギャックスのバンドとして名を挙げており、ロビーはこの当時は売り出し中のスタジオミュージシャンでしたが、後にコンポーザー・アレンジャーとして大活躍します。

実はマクサスは1980年にA&Mからデビューを果たすことになっていたのですが、それが急遽トラブルが起き、お蔵入りとなってしまいます。そこでワーナーがデビューの手助けをすることとなります。当時ワーナーと言えば、クリストファークロスのデビューアルバムが大プレイクしていた時期。そのアルバムのプロデューサーでもあるマイケル・オマーティアンも一躍時の人となりました。
ワーナーはマクサスデビューに際し、プロデューサーをマイケル・オマーティアンとすることといった条件を付けたとのことです。ワーナーとしても必ず売ってみせるといった気合が入っていたのでしょうね。
(結局本作は商業的には失敗してしまうのですが・・・)

①「The Higher You Rise」からAORとは言いがたいハードなギターが疾走します。ただメロディは一筋縄ではいかないもので、ジェイ・グルスカらしい展開ですね。超高音コーラスはエアプレイのトミー・ファンダーバークでしょうか?

②「Nobody's Business」もちょっと変わったサビですね。マイケル・マクドナルドが得意とするキーボード・リフをそのままメロディにつけたようなサビです。う~ん、やっぱり曲の展開が読めません。

個人的にはAORっぽい感じの⑤「Your Imagination」辺りから、やっぱりこのアルバムいいじゃない、と思い始めます。ハード一辺倒でもないマイケルのカッティングがいいですね。
マクサスはTOTOやスティーリーダンと比較されやすいですが、私はペイジスに近いと思ってます。特にこの曲なんか結構ペイジスっぽい。TOTOとはちょっと違いますね。

泣きのバラード、⑦「Part Of You」。いいですね~。ここでもハイトーンコーラスが目立ちます。夏の夕暮れに聴いていたい楽曲。TOTOよりもメロウだし、マイケルの泣きのギターも短いですけどGood。

エンディングの⑨「Where Were You」はバンドのテクニックを見せつけるような楽曲。ちょっと間違えると面白みのないメロディなんですが、アレンジがやっぱり凝っていて、ついつい聞き入ってしまいます。特にエンディングはなかなかスリリングですね。TOTOの「Girl Goodbye」を彷彿させます。

個人的には⑤以降の楽曲は全てお気に入りです。ジミな印象のアルバムだったのですが、よくよく聴いてみるとやっぱりいい味出してますよね。
これ1枚で解散とは、ちょっと残念ですね。この後発表されたジェイのソロアルバムもいいんでしょうね。今や高値で買う気も失せてしまっているのですが、機会があれば聴いてみたいものです。

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