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James Taylor「Sweet Baby James」(1970)

桜咲く中、新年度入りしました…。そして今日、いよいよジェームス・テイラーの、たった1日限りの来日公演に参戦致します。

何度もご報告の通り、8,000人収容のホールの1列目、そう、最前列のほぼ真ん中の席。もう2度とない機会と思い、iphoneも6Sから13proへ買い替えてしまいました(苦笑)。いい写真が撮れましたら、また別途記事を投稿するかもしれません。
今回のツアーは、実は日本がスタートです。なのでセットリストは全く分からず。そしてドラムはスティーヴ・ガッド。スティーヴのスティック捌きも撮りたいなあ。

ということで、今回は当然ジェームス・テイラーの名盤をご紹介しておきます。今更の名盤、こうした名盤はご紹介すること自体、気が引けるのですが、しばらくお付き合いくださいませ。

アップルがリリースされたジェームス・テイラーのデビューアルバム「James Taylor」をご紹介したのは1月でしたね。そこである程度書きましたが、ジェームスは薬物中毒の影響もあり、失意の下、米国に戻ります。そこで自身の経験に基づいた楽曲を中心にアルバムを制作。それが今回ご紹介する「Sweet Baby James」です。

このレコ―ディングには、後のセクションを結成することになるダニー・コーチマー(G)、ラス・カンケル(Ds)や、盟友キャロル・キング(Key)は既に参加しているのですが、なぜかリーランド・スカラーは参加しておらず。このアルバムのレコ―ディングの時点では、JTは既にリーランドとは面識を持っていた筈ですが…。その代わり、ベースにはランディ・マイズナーやモンキーズのマイク・ネスミスの旧友だったジョン・ロンドンが参加。スティール・ギターは、これもまたマイクとは親交の厚いレッド・ローズが参加しております。

とても内省的な歌詞の多い楽曲中心の本作ですが、そのオープニングナンバーが①「Sweet Baby James」です。
このタイトルから自身のことを歌ったものと勘違いしてしまいがちですが、こちらはJTの兄、アレックスの生まれたばかりの赤ちゃん、ジェームス・リッチモンド・テイラーに捧げた子守唄。ハートウォームな歌詞とJTの歌声…、ここはやはりJTの弾き語り映像をアップしておきます。

ファーストアルバムのボートラにも収録されていた③「Sunny Skies」。
もう既にこの段階でJTのフォーマットが固まっていたことがよく分かる1曲です。心地よいメロディと巧みなアコギ、魅了するバリトン・ヴォイス…、全てが心地よいですね。

1965年にJTがうつ病の治療を受けていた病院の前の、緑豊かな通りからインスパイアされて作ったと云われている⑤「Country Road」。
これもまた内省的な楽曲です。それをランディ・マイズナーのベース、ラス・カンケルのドラムがかっちり支えてますね。

個人的には本作の白眉は⑥~⑧の流れにあると思ってます(実際は⑥でA面が終わり、B面へ続く流れですが)。
ファーストアルバムのレコ―ディング中、JTの幼馴染であるスザンヌが自殺してしまいます。友人たちはJTがショックを受けるであろうことから、この事実を暫く伏せて置き、JTに伝えられたのは半年後のことでした。大いにショックを受けたJTは精神的にも不安定になってしまいます。こうした諸々のことが、米国での本作制作の契機となるのですが…。
そして書いた曲が⑦「Fire And Rain」で、この曲が大ヒットに繋がります。

本作ではその曲(B面トップ)の前、A面最後に⑥「Oh, Susannah」が置かれてます。この曲はスティーブン・フォスターが書いた古典的楽曲のカバーですが、自殺したSuzanneとスベルは違えど、JTの頭の中では、きっとスザンヌのことを想いながら、この曲をしみじみと歌っていたんじゃないかなと邪推しております。そう感じながら、この曲を聴いてみて下さい。

そして名曲⑦「Fire and Rain」が続くのです。
スザンヌの死、自身の薬物中毒の話、ダニー・コーチマーと組んだフライング・マシーンの崩壊…、これらが淡々と綴られ、JTは辛いときに君(スザンヌ)にいて欲しかったと語りかけてきます。
「Fire」は精神疾患の患者に対するショック療法、「Rain」はそのショック療法の後に浴びる冷たいシャワーのこと。つまりJTの実体験が語られているわけです。この内相的な語りかけが、当時の時代背景(ベトナム戦争)に基づいた傷ついた人々の心に響いたわけです。
YouTubeには多くのJTのライヴバージョンがアップされていますし、間違いなく今回のライヴでも歌われるでしょう。でもここはスタジオ音源をアップしておきます。ラス・カンケルの緩急強弱をつけたドラムが素晴らしいです。

続く⑧「Blossom」は短い曲ながらも、⑦とは対照的に暖かく包み込んでくれるようなメッセージソング。
最近孤独だった自分に、Blossomである「あなた」は傷を癒してくれる。
本作の流れを踏まえると、この「あなた」は心の中のスザンヌなのかもしれません。だからこの⑥~⑧の流れって大好きなんですよね。
こちらは2007年、トルバドールでの盟友キャロル・キングとの共演映像です。JTとキャロルの関係っていいですよね。

今日、JT&His All Star Band がどんな演奏を聴かせてくれるのか、楽しみです。

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