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Traffic「John Barleycorn Must Die」(1970)

60年代後半のUKロックシーンには欠かせない存在のトラフィック。トラフィックのアルバムはどれもクオリティが高いのですが、様々な音楽のフュージョン・・・という観点からいえば、今回ご紹介する「John Barleycorn Must Die」が一番様々な音楽を昇華して、自分達の音楽を作り出していると感じます。

トラフィックは1968年、セカンドアルバム発表後、デイヴ・メイソンがソロ活動に専念するため脱退。グループの中心的な存在のスティーヴ•ウィンウッドはエリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカー等と共にブラインド・フェイス結成に動き、1969年に一旦トラフィックは活動を休止させます。しかし我の強いメンバー故に、予想通りブラインド・フェイスは短命に終わり、スティーヴはソロアルバム「Mad Shadows」(当時のアルバムタイトル)の制作に入ります。

まずトラフィックのメンバーだったジム・キャパルディを呼び、④「Stranger to Himself」⑥「Every Mother's Son」を制作。ジムは④でヴォーカル、⑥ではドラムで参加。その後、やはりトラフィックのメンバーだったクリス・ウッドが参加し、結果3人組としてトラフィックが再結成されます。

そういった経緯で制作されたアルバムなので、スティーヴ色が濃いのですが、それにしてもたった3人で作り込んだ音であることを踏まえると、アレンジ等、実によく出来たアルバムです!
それから前述の2曲とも、結構熱の籠ったギターが聞けますが、両方共スティーヴ自身のプレイなんですよね。やっぱりスティーヴ、天才です!

アルバムトップの①「Glad」はインストナンバーですが、3人の演奏が拮抗している白熱のナンバー。スティーヴのピアノ、クリスのサックス、ジムのドラム、各々熱い演奏ですね。

ジャズやブルースからの影響の大きい本作ですが、その象徴的な楽曲が②「Feedom Rider」でしょうか。クリスのフルート・サックスが、より一層曲を怪しげなものにさせてます。ジムの走り気味なドラムも疾走感があっていいですね。それにしてもスティーヴの歌声はソウルフルです。

アルバムタイトルトラックの⑤「John Barleycorn」はブリティッシュ・トラッド・フォークです。クリスのフルートはいい味付けになってますし、ジムのハーモニーもいいですね。

米国ではスワンプが流行していましたが、本作はスティーヴが独自の解釈で、当時の音楽をプログレッシヴに仕立て上げたアルバムで、ある意味、英国のバンドらしいアルバムかもしれません。

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