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Linda Ronstadt「Don't Cry Now」(1973)

またまたカントリーロックを聴きだしてます。そもそもモンキーズから洋楽を聴き始めた私は、メンバーであるマイク・ネスミスが大好きで、彼が70年代初頭に初頭に発表したカントリーロック系のソロアルバムや、モンキーズ時代のマイクの作品(当然カントリースタイル)が中学時代からお気に入りでした。ですからカントリーロックとの付き合いは結構永いものになってます。

そのマイク・ネスミスの作品である「Different Drum」を1967年にヒットさせたのが、デビュー当時のリンダ・ロンシュタットです。当時リンダはストーン・ポニーズのメンバーの1人でした(ストーン・ポニーズのベーシストはカーラ・ボノフ等とブリンドルを結成するケニー・エドワーズですね)。

そのリンダがカントリーロックをやりだしたリック・ネルソンに触発されて、そのプロデューサーであるジョン・ボイランに自らを委ね、ソロアルバムとしては3枚目のアルバム「Linda Ronstadt」を発表します。
バックバンドがイーグルスであったことは有名な話ですね。このアルバムは評判を呼び、「LAの歌姫」という称号がリンダに与えられるようになりました。

前置きが長くなりましたが、そういったなかでリンダはその延長線上の4枚目のアルバムを1973年に発表します。このアルバムがいいんですよね。最初聴いた当初は「ピン」と来なかったのですが、最近聴き返してみて、「やっぱりいいなあ」と。

このアルバム、私が敬愛するJ.D.サウザーがフューチャーされた記念すべき作品でもあります。メインプロデューサーがJ.D.。他にジョン・ボイランやピーター・アッシャーがプロデュースしている作品もありますが。
またアサイラムから発表された最初のリンダのアルバムであることも重要な要素です。何が重要かって、その発表された流れが時代感覚を掴む上で重要なんですね~。

1972年1月、リンダ、サードアルバム発表(但し発表はキャピタルから)
1972年1月、ジャクソン・ブラウン、ファーストアルバム発表
1972年6月、イーグルス、ファーストアルバム発表
1972年8月、J.D.サウザー、ファーストアルバム発表
1973年9月、リンダ、本作発表

70年代前半のアサイラムレーベルの凄さがご理解頂けると思います。ちなみにJ.D.とリンダの発表作の間に、ネッド・ドヒニーとトム・ウェイツがファーストソロを発表してます。こうしてみると当時ファーキー&カントリータッチのブームが来ているって感じですよね。

そして本作、オープニングの①「I Can Almost See It」からカントリーの匂いがプンプンするバラードです。しかもJ.D.の作品と来れば、全く問題ありませんね。美しいスティール・ギターはフライング・ブリトー・ブラザーズにいたスニーキー・ピート。

バラードが2曲続きます。エリック・カズ作の②「Love Has No Pride」は本格的なバラード。この曲は味わい深いですね。先にボニー・レイットがカバーしてますが、リンダのバージョンもいいです。
アップした映像、最初に映っているピアノマン、J.D.だと思います。しっかり参加していますね。

一転、ノリのいいカントリーロックの③「Silver Threads and Golden Needles」。
イーグルスとのコラボ映像がありました。出だしからグレン・フライの紹介で始まる映像です。ドン・フェルダーがスティール・ギターを弾いてますね。バーニー・レドンもいるので、「呪われた夜」の頃でしょうか。恐らくイーグルスのコンサートにリンダが参加したものでしょう。リンダも初々しいですね。

④「Desperado」は紹介するまでもないでしょう。イーグルスに先駆けて、リンダが発表したんですね。レコーディングにはグレンもドンも参加していないんですね。サックス奏者にジム・ゴードンとの記載がありますが、あのドラマーのジムと同一人物でしょうか?アップした映像は上の同様、イーグルスとの貴重なコラボ映像。

あのランディ・ニューマンの名作をカバーした⑥「Sail Away」。いい曲です。なんとギターはラリー・カールトン。ピアノはクレイグ・ターギ、ベースはリー・スカラー、ドラムはラス・カンケル、後のセクションのメンバーですね。
楽曲がちょっとアーシーでブルージーに聴こえるのはラリーのいぶし銀のギターによるところが大きいかもしれません。

一瞬「Take it Easy」かと思ってしまった⑧「The Fast One」。J.D.作で、自身のファーストアルバムの1曲目に収録されていたナンバー。思いっきりバックコーラスでJ.D.の声が目立ってますね。デュエットみたいなものです。確かこの時期、J.D.とリンダは恋仲だったんですよね? 恋多き女性であるリンダは、いろいろなミュージシャンと噂があるので、どの時期に誰って、よく分かりません(笑)。
グレン・フライが「Desperado」ではなくて、こちらにギターで参加してます。

本作、各々の楽曲が名曲であり、またそれをリンダが見事に歌いきってます。まだまだカントリー臭い、田舎女的なリンダが楽しめる名盤ですね。リンダはこの後発表する「Heart Like a Wheel」が大ヒットを記録し、LAではなく、全米の歌姫となっていきます。このアルバムには、その前夜祭的な、まだのどかな雰囲気の漂う味わいがあります。

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