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Barry Mann「Survivor」(1975)

アメリカンポップスの大御所の珠玉のメロディー集

ポップスファンには御馴染み、バリー・マン。60年代から活躍している素晴らしいソングライター。山下達郎氏も最も好きな作曲家としてバリーの名を挙げてます。
彼が書いた珠玉の名曲・・・、アニマルズの「朝日のない街」、ポール・リヴィアとレイダーズの「キックス」、ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」、モンキーズの「灰色の影」。素晴らしきポップスですね。
70年代にはB.J.トーマスが彼の曲を好んで採り上げてました。80年代にはセルジオ・メンデスの「愛をもう一度」、なんて名曲がありましたね。90年代のリンダ・ロンシュタットとジェイムス・イングラムの「アメリカ物語(サムウェア・アウト・ゼア)」もバリーでした。
未だ現役のバリーに脱帽です。
そして本作はバリーの3枚目のアルバムです。ジャケットも素敵ですね。

プロデュースは元ビーチボーイズのブルース・ジョンストンとバリー。ブルースの盟友、テリー・メルチャーが設立したイクイノックスよりリリースされました。ちなみにテリーはドリス・デイの息子で、60年代前半にブルースと、ブルース&テリーとして活動しておりました。バリーも同時期から活動しておりますので、言ってみれば本作は旧友同士がタッグを組んだ作品といえるかもしれません。

バックはビル・ハウス率いるロードハウスバンド。他にハル・ブレイン、アル・パーマー、ブロンディー・チャップリン、ラリー・ネクテル等が参加しております。ブロンディー・チャップリンの名前に思い当たる人はマニアですね(笑)。彼は一時期ビーチボーイズに在籍しておりました。ブルース繋がりですね。
本作に関わっている方々の名前を聞いているだけで、本作の素晴らしさは理解できると思います。実は最初、アメリカンポップスを期待して本作を聴いたのですが、そうしたお子様ポップスとは無縁の、むしろ骨太な作りに驚いたものです。

①「I'm a Survivor」の力強いピアノのイントロがその素晴らしさを象徴しています。歌詞にはビートルズのメンバーやプレスリー、ローリングストーンズ等の名前が出てきますが、趣旨はロック史に多くのミュージシャンが生まれては消えていっているが、自分はSurvivorであるといったものです。
この曲、当初はシングルのみの発表だったのですが、本作のセカンド・プレスで1曲目に収録されることになりました。その割には見事に本作の1曲目に相応しい仕上がりになってます。カントリータッチなアレンジが素敵です。

②「Don't Seem Right」はピアノの弾き語りが素晴らしい楽曲。
ファースト・プレスはこの静かで美しい楽曲が1曲目だったんですね。曲が静かな分、バリーのヴォーカルが力強く聞こえます。ちなみに彼のヴォーカルには賛否両論あるみたいですね。山下達郎氏は「大変歌のうまい人で、情感溢れる歌の表現力を持っています。」と語ってます。私個人はうまいかどうかはともかく、非常に個性的で、パワーのあるヴォーカルだと思ってます。
この「Don't Seem Right」は本作エンディングでもリプライズとして再登場します。

ちょっとゴスペルタッチな⑦「Nobody But You」。コーラスがかなりゴスペル的ですね。ダイナミックなサザンソウル系の音がなんとも素晴らしい。

私の一番のお気に入りは⑩「My Rock & Rollin' Friends」。
バリーらしい珠玉のメロディーです。それとシンシア・ウェイル(バリー夫人)の歌詞、青春時代のロックンロールを聴けば、また心の安らぎが取り戻せるといった歌詞も最高です。ロックンロール賛歌ですね。

ボーナストラックの2曲は当時のシングルのAB面。「Woman Woman Woman」はB面の曲で、永らくアルバム未収録だった楽曲ですが、3連系転調ありのバリーらしい名バラード。こんな素晴らしい楽曲が埋もれていたなんて・・・。

バリーは2000年にはセルフカバーアルバムも発表してますが、こちらは未聴です。収録曲はどれも名曲揃いなので興味津々です。何れチェックしたいと思ってます。

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