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Firefall「Firefall」(1976)

今週は気持ちの良い日が続いたこともあり、ついつい爽やかで軽快なカントリーロック、ファイアフォールのデビューアルバムを聴いておりました。久しぶりにウエストコースト・ロックの名盤の登場です。

ファイアフォールは元フライング・ブリトー・ブラザーズのリック・ロバーツと、元ゼファーのジョック・バートリー(ゼファーにはトミー・ボーリンの後釜として加入)が中心となり、1974年に結成されたバンド。イーグルスのフォロワー的な印象ですが、コーラスワークはCSN&Yも連想させますね。

まずは梅雨の晴れ間の清々しい日に絶対聴いてほしいリック・ロバーツ作の⑧「You Are the Woman」をどうぞ。
彼等のセカンド・シングルになります。捻りのある楽曲ではないのですが、ポップス好きの私としてはこうした爽やかな楽曲は大好物です。この時はサポートメンバーで、本作発表後にメンバーとなったデヴィッド・ミューズが奏でるフルート、間奏のライトなギターソロが聴き所でしょうか。そして彼等のハーモニーも素晴らしい。爽やかな早朝に聴きたい1曲。

この曲、後にリックがランディ・マイズナーと組んだバンド(The Roberts-Meisner Band)でも披露していた映像がありましたのでアップしておきます。改めてリックっていい声しているなあと感じました。声質はランディと似てますよね。ちなみにこの映像の後半は司会者と軽妙なインタビューが繰り広げられてます。ランディには「なぜイーグルスは再結成しないのか?」と突っ込まれてますね(苦笑)。

スティーヴン・スティルス、クリス・ヒルマン、リック・ロバーツの共作で、マナサスで披露目されていた①「It Doesn't Matter」がオープニングナンバーです。
リック・ロバーツが関わった曲とはいえ、オリジナル曲で勝負するファイアフォールが、デビューアルバムの1曲目にカバーを持ってきていたことに驚きましたが、リックとしては思い入れの深い曲だったということでしょうか。確かにマナサスよりも、よりソリッドで、かつコーラスが厚いロック、スティーヴンよりもCSN&Y風なアレンジですね。

リック作の③「Livin' Ain't Livin'」は彼等のデビューシングルです。
ちょっとラテン風な味付けと爽やかなコーラスがウエストコーストロックしてますね。この当時、イーグルスはいち早くロック寄りに転身し、「Hotel California」を発表。それを考えると、同時期にイーグルスのフォロワー的意味合いでデビューしたファイアフォールは、ちょっと時代遅れだったかもしれません。でもこのテのカントリーロックが大好きなファンは一定層いらしたわけで、彼等は根強いファンに支持されました。

デビュー当時は無名の存在だったラリー・バーネット作の⑥「Cinderella」はちょっと土臭いカントリーロック。
ラリーは本作では10曲中、5曲提供しております。元々ファイアフォールはリックとジョックの発案でスタートしたバンドで、ラリーは元々はタクシー・ドライバーだった方のようですが、このデビューアルバムでいきなり実力を発揮されたわけですね。ファイアフォールは私自身、それほど聴き込んでいないので、このヴォーカルがラリー自身のものなのか分かりませんが、ファイアフォールは優れたライターがリック・ロバーツ以外にもいたんですよね。

リック作のハードな作風の⑨「Mexico」。こちらも彼等の代表曲。
間奏のホーンはメキシコをイメージしたアレンジでしょうか。ギターが熱いですね。ファイアフォールはコーラスが爽やかなので、ちょっと軟弱なバンドに見られがちですが、かなりヘビーなギターを聞かせてくれてます。この「Mexico」は熱い演奏ですよね。
ちなみに彼等は今も活動を続けており、現時点での最新作「Comet」(2020年)には、この「Mexico」の続編的な作品「New Mexico」という曲が収録されてます。

当初はリック・ロバーツが主役的な活動をしていたファイアフォールですが、リックは1982年に脱退。以降ジョックを中心に活動しております。そういえば未聴のリック・ロバーツのソロも気になりますね…。


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