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Eric Carmen「Eric Carmen」(1975)
今回は私が大好きなエリック・カルメンです。パワーポップが大好きな私は70年代前半に活躍したラズベリーズが大好きで、彼等の4枚のアルバムはどれも素晴らしい内容です。機会があれば定期的に聴きなおしてます。
そのラズベリーズのリーダーがエリック・カルメン。ラズベリーズのラストアルバム「Starting Over」は本当に素晴らしい内容でした。あれほどの充実した作品を発表しながら解散してしまったラズベリーズ。エリックとしてはこれからが充実期だったのかもしれません。
ですからこのソロデビューアルバムは彼なりに気合の入ったものだったのでしょう。実際、デビュー作にして自身の最高傑作と呼べるものかもしれません。
プロデュースはラズベリーズ時代からの盟友、ジミー・イエナー。
この作品、多くの方々は③「Never Gonna Fall In Love Again」、④「All By Myself」の強力なバラードをオススメされているようです。でもポップスマニアの私としては、この2曲はもちろんのこと、他に①「Sunrise」と⑥「My Girl」をプッシュ致します!
この素晴らしいアルバムの1曲目が①「Sunrise」。
組曲風なイントロ・・・、何かが始まる予感のするギターの奏で。震えます。そしてビーチボーイズ風のメロディが・・・。
♪ Sunrise, shine down a little love on the world today ♪
全く期待を裏切りません。最上級のポップスと言っていいかもしれません。この素敵なメロディに豊潤なコーラスが乗っかれば悪いハズがないでしょう。
メロディがまたまた展開し、ロックンロールへ。この1曲にエリック・カルメンの全てが集約されているような気がします。
このアルバム、ビーチボーイズ、それもペットサウンズ以降の香りが非常にします。メロディはポール・マッカートニーばりのもの。きっとブライアン・ウィルソンがペットサウンズ以降も健在であれば、きっとこうした音楽をやっていたであろう、そう思わせる音楽がここにはあります。私なりの理想ですが・・・。
そして⑥「My Girl」。そうです、この曲にはそのペットサウンズ以降の理想のポップスがあります。アルバムのなかでは①~④の流れにかき消されてしまった感のあるB面ですが、この「My Girl」にこそ、エリック・カルメンのやりたかった音楽があったハズ!
そうそう、②「That's Rock'n Roll」も忘れてはいけません。ショーン・キャシディがカバーしてましたっけ。
ここでのエリック、実に素晴らしいシャウトです。ラズベリーズ時代からロックンロール系シャウトには定評のあるエリックですが、この作品での歌唱力、素晴らしい。
③「Never Gonna Fall In Love Again」、④「All By Myself」、どちらが好きかと問われれば、やっぱり「Never Gonna Fall In Love Again」かな。邦題「恋にノータッチ」。
この気品のあるメロディはバート・バカラックを連想させます。泣きのメロディ、それも胸を焦がすような、甘酸っぱいメロディ・・・。実はこの曲、ラフマニノフの交響曲第2番をベースに作られたらしいのですが、やっぱりエリックらしい。
また間奏のクラリネット(??)、ペットサウンズ系の音つくりっぽいですね。
名曲④「All By Myself」にはあえて言及する必要はないでしょう。クラシックを勉強していたエリックらしい1曲。
エンディングはカバーの⑩「On Broadway」。原曲はバリーマン、シンシア・ウェル等が作り、ドリフターズの歌でヒットしました。しかしこの曲なぜ収録したのか、よく分かりません。当時のエリックの才能であれば、全曲オリジナルで勝負しても良かったと思うのですが。
ラズベリーズ時代の香りを残しつつ、見事に自身の力量をフルに発揮した渾身の1枚。素晴らしいアルバムですね。
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