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オフコース「Three And Two」(1979)

このたび能登地方を震源とする大規模地震により犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

私の両親の実家が富山であり、何となく状況は分かっていたこと、また輪島に在住している知人の知人がご自宅が倒壊し、自衛隊に救助されたという報にも接していたことから、この地震による被害は、想像以上に甚大であることが分かってきました。

1日にも早い復興を祈っております。

今の気持ちを癒すにはオフコース…、しかも本作は私の長年のお供となっている1枚です。
個人的にはオフコースとは決して小田和正のバンドではなく、鈴木康博と小田和正が拮抗したバンド(ユニット)、二人がそれぞれ作る曲がバランス良く聞ける時代がオフコースであると思ってまして、この「Three And Two」が。オフコースというバンドとして発表した最高傑作だと思ってます。

1979年8月1日、松尾一彦、清水仁、大間ジローはオフコースに正式加入します。既に小田和正、鈴木康博とこの3人を交えたオフコースは本作のレコ―ディングを開始しており、最終的にこの作品は10月にリリースされることとなります。それがオフコース7枚目のアルバム「Three And Two」というわけです。
ジャケットはその新たに加入した3人だけが写っており、「オフコースってメンバーチェンジしたの?」って思わず想像しちゃうくらいのインパクト。もちろんレコード会社からは猛反発を喰らったらしいのですが、オフコースはコレで押し通したわけです。バンドとして強い決意、意気込みが感じられます。ちなみに下が裏ジャケです。

全9曲、鈴木さんが1曲大作を提供してますので、実質は鈴木・小田が各々バランス良く楽曲を持ち合って作り上げた1枚です。本作はプロデュースも鈴木・小田が担当(以下鈴木=ヤスさん、小田=小田さんと表記)。

ヤスさん作の屈指の名曲の②「恋を抱きしめよう」。個人的にはオフコースの数多ある名曲の中でも大好きな1曲です。
リズムを大事にするヤスさんらしいリズミカルな楽曲であり、オフコースというバンドの演奏力が非常に高いと思わせた1曲でもあります。
コーラスやメロディ、ギターのトーン、どれも素晴らしいのですが、何よりもこのシャッフルを刻むドラムワークは、かなりグルーヴを効かさないと曲の持ち味が生きないんですが、大間ジローのドラムが実に秀逸。この曲はライブアルバムでも聴くことが出来ますが、そこでも彼のドラムはシャッフルしながら一定のリズムを堅実に刻んでます。初めてこの曲を聴いたとき、ドラム上手いなあ…と思ったものです。そのライブバージョンもアップしておきます。

【ライブバージョン】

あまりにも有名な名曲⑤「愛を止めないで」。
多くを語るのは不要なくらいの屈指の名曲、そして完成度の高い楽曲ですよね。澄み切った小田さんのヴォーカルも素晴らしいし、それをサポートするコーラスとバンド演奏も素晴らしい。
歌詞に「眠れぬ夜はいらない」とあるのは、もちろん彼等、デュオ時代の名曲「眠れぬ夜」を意図的に連想させるもの。デュオ時代からの決別、新たなバンド・サウンドへの挑戦を意味するのでしょうか。

ヤスさん作の⑥「Save The Love」はギターのリフがボストンそのもの。
この曲は8分強もある大作です。曲のドラマティックな展開自体も当時流行っていたボストンを思い起こさせますね。但し随所にオフコースらしさが溢れており、これもまた当時の彼等にしか出来なかった曲じゃないかなと感じます。この曲を聴く度に、当時のヤスさんはバンドに憧れていたのかなとも思ってしまいますが、すぐにここには自分の居場所はないと感じてしまったのでしょう。せっかくこうした曲も発表出来て、理想のバンドサウンドが築き上げられたと思ったのですが…。

そしてドラマティックな大作に続く同じくヤスさん作の⑦「汐風のなかで」。大作の余韻に浸る余裕もなく、美しいバラードが続きます。この曲の流れ、そしてこの美しいメロディを持つ「汐風のなかで」も私の大好きな楽曲のひとつ。
間奏のアコギのギターソロ、それに続くギターソロもいいですね。しばしこの曲で癒されたいです…。

このアルバムに収録された小田さんの楽曲は名曲が多いですね。⑧「愛あるところへ」もその内の1曲。
小田さんの楽曲は歌詞が印象的なものが多いのも特徴で、この曲も然り。

 ♪ 耳をふさいで眼を閉じてたら そこから逃げられない 君はまだあの夏 ♪

この曲のハーモニーも素晴らしいですね。ヤスさんもハイトーンのコーラスが得意ですが、松尾さんが加わったことで、特にライブでは厚みのあるコーラスで表現力豊かな展開が可能となりました。

実はこの曲はご紹介するつもりはなかったのですが、こうした事態が起きている今、敢えてこの曲をご紹介しておこうと思います。それが小田さん作の⑨「生まれ来る子供たちのために」。
聴き手にいろいろな解釈を想起させる名曲。この時代、このご時勢だからこそじっくり聴いてほしい1曲です。
アルバムではこれに続いて、ライブのアカペラバージョン「いつもいつも」が続きます。

この後、オフコースは続いて名盤「We Are」を発表…。但しヤスさんの気持ちはオフコースから離れていっているのでした。

被災地の1日にも早い復興を祈っております。

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