Olivia Newton-John「Making a Good Thing Better」(1977)
オリビアが今年8月に亡くなられました。直ぐに追悼の意味も込めて、彼女のアルバムをアップしようと思ったのですが、もう少し彼女のアルバムを聴いてからにしようと思い、あれこれと聴いていたら、ここまで遅くなってしまいました。
オリビアは結構幅広く音楽活動をされており、個人的には洋楽を聴き始めた頃の大ヒット曲「フィジカル」が強烈に印象に残ってますが、音楽的には初期カントリー時代、映画「グリース」のサントラ、ELOと組んだ「ザナドゥ」辺りが大好きでした。そして私もご多分に洩れず、中学時代は彼女の(そよ風の誘惑の頃の)ポスターを部屋に貼ってましたよ(笑)。
あれこれと聴いて、結局今回チョイスしたのは、商業的にはあまりヒットに至らなかった彼女の9枚目のアルバム「Making a Good Thing Better」、邦題「きらめく光のように」です。何といってもオリビアの素晴らしい笑顔、ジャケットに惹かれますね~。
一般的にはこのアルバムは、アルバム・タイトルが、尾崎亜美の「オリビアを聴きながら」の歌詞に引用されていることで有名ですね。ただ、それ以外にあまり語られることの少ない「埋もれてしまった」アルバムです。でも私にとってはこのアルバムは聴き所の多いアルバムなんですよね。
プロデューサーは長年の盟友でもある元シャドウズのギタリストだったジョン・ファーラー。シャドウズはご存じのようにクリフ・リチャードのバックバンドで、オリビアはクリフに見出されて、デビューを果たした経緯にあるので、その流れからジョンがオリビアの音楽パートナーとして選ばれたのでしょう。
デビューアルバムからずっとジョンがプロデュースを手掛けているので、オリビアのここまでの音楽的変遷も、オリビアとジョンの戦略に則ったものと思われます。カントリーから徐々にポップスへと変化し、本作では無名なライターの曲を中心に、AORへのアプローチも志向しております。
まずはオープニングのタイトル・トラックの①「Making a Good Thing Better」。英国シンガーのピート・ウィングフィールド作。
朝日が眩しい情景が思い浮かぶイントロ。オリビアらしいポップス。でもサビから一転、AOR的な展開。
ちょっと曲を聴いて、ドラムのスネアがタイトなことに気付き、クレジットを見ると…、おお~、やっぱりジェフ・ポーカロ。曲が進むにつれて、如何にもジェフらしいフィルインが登場してきます。ジェフはオーケストラ中心の⑤「Don't Cry for Me, Argentina」を除く全曲で叩いてますね。これだけでも要チェック(笑)。
ちなみにギターはジョン・ファーラーとジェイ・グレイドン、ベースはリー・スカラー。ピアノはグレッグ・マティソン。なるほど~、そういうアルバムなんですね~。
ジョン・ファーラー作の④「Coolin' Down」。
実にムーディーな佳作。後にキャロル・ベイヤー・セイガーが名作「SOMETIMES LATE AT NIGHT」を発表しますが、あの中に収録されていてもおかしくないくらい雰囲気が同じです。気のせいか、オリビアのヴォーカルもキャロルに似ている。オリビアのヴォーカルって、実に澄んでいて、清々しいですね。
それにしてもジョン・フォーラーっていい曲を書きますね~。オリビアの数々のヒット曲、「そよ風の誘惑 (Have You Never Been Mellow)」も「愛のデュエット(You're the One That I Want) 」も「Magic」もどれも彼の作品ですね。
⑥「Sad Songs」はあのアレッシー・ブラザーズの作品です。
アレンジがかなりAORしてます。特にコーラスはいいですね~。ここでもヴォーカリストとしてのオリビアの魅力が光ります。
スティールギターの音色が美しい⑧「So Easy to Begin」。
作者のJules Mark Shearはシンディ・ローパーの「All Through theNight」を書いたことで有名です。
とても美しいメロディを持つ、カントリータッチの楽曲。スティールギターは名手のスニーキー・ピート。このカントリーを歌うオリビアも大好き。このヴォーカルはカーペンターズのカレン同様に、唯一無二の存在。
本作中、一番の佳作は⑩「Don't Ask A Friend」じゃないかなと思ってます。この曲、実はオリビアの自作曲なんですよ。
実に日本人好みの泣かせるメロディ。歌詞は、恋人のすべてを知りたいと思っている彼女に対して、恋人の友達が「すべては知らないほうがいい」と忠告している歌。オリビアもこうした微妙な詞を書いていたんですね。ジョンが少し協力しているんじゃないかと勘繰ってしまうくらいメロディが素晴らしい。
あとこのギター、一聴してジェイ・グレイドンと分かるプレイですね。このテのバラードにはジェイのギターソロがピッタリ。
どうでしたでしょうか。
オリビアの容姿ばかりに気を取られてましたが、ヴォーカリストとしてのオリビアの魅力も素晴らしいものがありました。特に彼女の澄み切ったハイトーン・ヴォイスは魅力的でしたね…。改めて今まで有難うございました。R.I.P…,Olivia。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?