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オフコース「We Are」(1980)

そろそろ外飲み解禁の方も多いのではないでしょうか?
私も外飲み、スナックカラオケ解禁。先週はスナックで7,8曲熱唱…、やっぱりいいですね~。

今回ご紹介するグループは歌いませんでしたが、「眠れぬ夜」は愛唱歌です。
ということでオフコースは絶対フォーキーな初期だよなあと思ってます。村上ポンタさんがお亡くなりになられた時、実は1974年に発表されたオフコースの「秋ゆく街で ⁄ オフコース・ライヴ・イン・コンサート」をご紹介したかったのですが、音源が少なく、断念した経緯があります。このアルバム、ドラムにポンタさん、ギターに大村憲司さん、ピアノに羽田健太郎さんという豪華布陣、しかもマーヴィン・ゲイとか、洋楽メドレーが秀逸なんですよね。「僕の贈りもの」は大好きな1曲だし、初期は「ワインの匂い」「秋の気配」「眠れぬ夜」…名曲ばかりですね。
でも今回ご紹介するのは1980年に発表された「We Are」。「さよなら」がバカ売れしてしまった直後に発表された名盤です。ただフォーキーなオフコースが好きな私にとっては長らく敬遠していたアルバムです。ミキサーを担当したビル・シュネーはボズ・スギャックスの仕事で有名な方で、サウンドは完全にスティーリー・ダン的なAORで、洋楽AORは好きなのに、この時代のオフコースは長らく全く好きになれませんでした。ただ、ここに収録されている②「僕等の時代」という曲が大好きで、YouTubeにも素敵なライブ映像がアップされていたので、是非ご紹介致したく、久しぶりに「We Are」を聴き返してます。

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オフコースは元々は小田さんと鈴木さんのデュオであり、お二人とも高学歴であることは有名な話。その経歴を蹴って、二人で苦楽を共に音楽に賭けてきたわけですが、「さよなら」のビッグヒットで鈴木さんは脱退することを決意します。それはオフコース=小田和正という方程式が決定的となったことが主因なんですが、確かに鈴木さんもいい曲書いているんですよね。実際「さよなら」のB面の鈴木康博作「汐風のなかで」なんて素晴らしい曲なんですけどね。

当時、鈴木さんの決意は表面化されませんでしたが、恐らくメンバー間では周知の事実であったと思われます。そんな中で制作された「We Are」。そして②「僕等の時代」は小田さんが鈴木さんに向けて作った楽曲でもあったわけです。この曲の大事な部分の詞を転記しておきます。

♪ あなたの時代が終わったわけでなく
  あなたが僕たちと歩こうとしないだけ ♪

当時子供だった私は「あなた」を中年のおじさんと見ていたのですが、気付いたら自分が「あなた」になっていた(笑)。そして「僕たち」は、今の若者になってました。この曲は当時のオフコースの苦悩を表していると同時に、今、自分に向けられていることに気づいてしまいました…。そういう思いを背景に、以下の映像を是非ご覧ください。

この曲はイントロこそアカペラですが、実際はバンドで演奏されてます、ただしこの「We Are」のコンサートでは、アンコールでこのように歌われていたみたいです。小田さんはなんと12弦ギターを弾いてます。間奏の松尾さんのハーモニカソロの前のパートはベースの清水さんが歌っていたんですね(歓声も上がってます)。松尾さんが歌っていると思ってました。バンドとしてのオフコースの素晴らしさを感じる演奏です。

この「僕等の時代」はシングルのB面でした。A面はというと、それがこのアルバムのオープニングナンバーの①「時に愛は」です。
こだわっただけあって、めちゃめちゃ音がいい。後期イーグルスの音っぽいですね。特にエンディングでの松尾さんと鈴木さんのギターソロの掛け合い…、こちらもイーグルスのジョー・ウォルッシュとドン・フェルダーを彷彿させます。
初期オフコースのアルバムを後追いで聴きまくっていた頃、どうしてもこのテのサウンドのオフコースが苦手でした。でもこうして聴いてみるといい曲ですね。あとアレンジも計算され尽くしています。理系出身の小田さんらしい。

鈴木さんの名バラードの⑤「いくつもの星の下で」。
小田さんの陰に隠れがちですが、鈴木さんも優れたソングライターであり、素晴らしいシンガーです。アップした映像はライブ音源ですが、泣きのギターソロも鈴木さん自身が弾いてますね。ギターも上手い!
メロディも美しいし、この曲はオフコース時代の鈴木さんの楽曲の中でも3本の指に入るくらい好きな楽曲です。

B面トップがオフコース史上最高のロックチューンと云われている⑥「一億の夜を超えて」。
こちらも鈴木さんの作品。この曲もそうですが、オフコースってコーラスが素晴らしいんですよね。松尾さんが加わって、コーラスがさらに豊かになりました。

ちなみに以下はNHKで放送された「愛の中へ」のレコ―ディングシーン。ここで分かるのは、実は鈴木さんのファルセットは小田さんのハイトーンの上を歌っていたってこと。鈴木さん、こんなに声が高かったんですね~。あと松尾さんのギターソロはフィンガーピッキング!

⑦「せつなくて」は作詞はドラムの大間さんと松尾さん、作曲は松尾さん。
これがまた見事なまでのAOR。アレンジも当時のウエストコースト風AOR。よく考えたら松尾さんは稲垣潤一さんのデビュー曲「雨のリグレット」の作者でしたし、本来こうした楽曲を作るのが得意だったんでしょうね。松尾さんの声もいいですね。

あまりにも名曲の⑧「Yes-No」は貴重なライブ映像をどうぞ。
なんと吉田拓郎とのジョイント。吉田拓郎さんが「Yes-No」を歌ってる(笑)。1985年、国際青年年記念 ALL TOGETHER NOWというジョイントコンサートのワンシーン。はっぴいえんども出演していましたね。ここでは既に鈴木さんは脱退しておりますが、オフコースって演奏力のあったバンドなんだなあってよく分かります。ドラムの大間さん、ベースの清水さん、いいリズム隊です。

改めて本作、じっくり聴いてみると捨て曲なしの名盤ですね。音のクオリティも高いし、古さを感じさせませんね。

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