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Atlanta Rhythm Section「A Rock And Roll Alternative」(1976)

アトランタ・リズム・セクション(ARS)というバンドをどれだけの方がご存知でしょう。日本での知名度は相当低いと思われますが、サザン・ロックというジャンルはご存知かと思います。レーナード・スキナード、ZZトップ、マーシャル・タッカー・バンド、オールマン・ブラザース・バンド等々。これらのバンドと比べてARSは明らかに知名度は低いかもしれませんが、その音楽は非常に洗練されております。

彼らは自身でもスタジオを建ててしまった職人気質のメンバーで、スタジオミュージシャンとしても活躍していました。またプロデューサーのBuddy Buieは全ての曲作りにも参加している実質第2のメンバーとも呼べる存在で、元々はBuddyと中心メンバーのJ.R.Cobb(g) が組んでいたクラシックスⅣというソフトロックのバンドがARSの源流となってます。
60年代に活躍したクラシックスⅣは「Spooky」や「Stormy」といった洒落た音楽を得意としていたので、一瞬サザンロックのARSとは結びつきが薄いような感じもするのですが、特に本作を聴いてみると、その関連性に納得されると思います。

今回ご紹介するのはARS6枚目のアルバム。タイトルはズバリ「A Rock And Roll Alternative」。彼らの作品のなかでも最も有名な作品かもしれません。サザンロックというよりは、ハードロック、或はAOR的な洗練された要素も垣間見られる内容です。

本作中、一番ヘビーなサウンドが①「Sky High」。これが1曲目というのがGood! スリリングなイントロ、マイナー調の日本人好みのメロディ。演奏も腰の座った安定感あるもの。アルバムジャケットは、まるでこの曲を演奏しているような感じがしませんか?

ちょっとカントリーっぽい④「Georgia Rhythm」は個人的にお気に入りの1曲。アメリカ人が好みそうな、ミュージシャンズソングとでも呼べばいいでしょうか。ジョージア・リズム(彼らのことでしょうか)を奏でる音楽生活を歌ったもの。バンド賛歌みたいなものでしょうかね。
狭い部屋でこれを聴いていても実感が沸きませんが、砂漠の中の真っ直ぐなハイウェイを走りながら、この曲を聴くと、この曲の持ち味がよく理解出来るのかもしれません。

本作中、もっとも有名な曲が⑤「So Into You」でしょう。
これ、かなりいぶし銀的なサウンドです。メロディも地味、演奏も地味。でもこの曲、ARSの楽曲の中でも人気の高い1曲です。この曲の底流にはサザンソウル的なものが感じられます。また間奏のねちっこいギターソロなんかもソウル感覚溢れるプレイ。でも人気の高いホントの理由はストレートな歌詞にあるかもしれません(笑)。
珍しいスタジオライヴの映像をアップしておきます。長髪のRonnie Hammond(Vo)の容姿は如何にもサザンロック的な感じです。ちょくちょくバックヴォーカルで映るドラムのRobert Nixは、実はBuieと一緒にバンドの多くの楽曲を作ってます。この「So Into You」も2人とDean Daughitry(Key)の共作です。

ちなみに⑥「Outside Woman Blues」のみカバー曲。
Blind Joe Reynolds作。往年のブルースで、クリームやジミ・ヘンドリックスもカバーしてました。確かに一聴してジミ・ヘンドリックスっぽいなあと。こんな骨太なブルースもさらりとやってしまいます。器用なバンドですね。

エンディングトラックはアダルトな⑧「Neon Nites」。イントロとAメロはひたすら渋めのサウンド。でもサビでは一転、転調してカントリームード溢れる音に。なんだか違う曲を組み合わせたような印象を受けますね。この辺りも職人芸的なものを感じさせます。

サザンロックバンドと評されるARSですが、より洗練された音作りで、玄人ウケしそうなバンドです。

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