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Boz Scaggs「Silk Degrees」(1976)

今更何の説明不要かと思います。ボズ・スキャッグスの、いやAORの不朽の名盤。ジャケットから楽曲・アレンジまで、すべてがAOR。

1974年に発表された前作「スロー・ダンサー」で、よりフィリーソウルへ接近したボズが、本作ではEW&Fとの仕事で知られるジョー・ウィザートをプロデューサーに、またコンポーザーとしても深く関わることとなるデビッィド・ペイチをアレンジャーに迎えて発表したのが本作です。

引き続きソウルやサザンソウルがベースにあるのは間違いないのですが、それをデビッド・ペイチ(もしくはTOTO一派)が見事なアレンジでAORという音楽に具現化してくれました。

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①「What Can I Say」のイントロからジェフ・ポーカロらしいタイトなドラムのフィルインで、リズム隊が非常に重いですね。ボズ流のフィリーソウルといったところでしょうか?
超カッコいいライブバージョンをどうぞ。叩いているのもジェフですね。

そのボズ流フィリーソウルをさらに推し進めたのが②「Georgia」。
ここでもジェフのタムの使い方がリズミカルで、雰囲気を盛り上げてます。ホーンがシカゴっぽくて、いいですね。

本作が発表された当時、一番注目されたのが③「Jump Street」でしょう。この曲のサザンソウルっぽさが当時は一番ボズらしかったと思われます。実際当時のライナーノーツには、この曲にスライド・ギターで参加しているレス・デューデックのことがかなり書かれてます。
また驚くべきことに、そのライナーノーツには「このアルバムに参加しているミュージシャンはほとんどがロスのスタジオ・ミュージシャンで、彼のコンサートには別のメンバーが同行している。ただひとり注目していただきたいのは、・・・レス・デューデックというギタリストの存在である。」とあり、このアルバムの中核をなし、後にTOTOを結成することとなるデビッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ、デビッド・ハンゲイトには全く触れられていないのです。
今AORの名盤と語られる本作を振り返ると、「Jump Street」は地味な存在かもしれませんね。

本作中一番クールな音は⑥「Lowdown」でしょう。
ドラムとベースが淡々とリズムを刻み、あの「ザ・ハッスル」風なリフも聞けます。いま聴いても色褪せない名曲ですね。

ドラムのジェフはシャッフルビートを得意としてます。例えばTOTOの「ロザーナ」等に顕著ですが、意外と真似できないものです。本作では⑨「Lido Shuffle」が題名の通り、シャッフルビートで心地いいです。ここでのグルーヴ感はジェフならではでしょう。

本作中、一番世間で知られている曲は⑩「We're All Alone」でしょうね。説明不要の超名曲です。

この後ボズは「Down Two Then Left」、「Middle Man」とAORの定番アルバムを発表していくこととなり、デビッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ、デビッド・ハンゲイトはTOTOを結成していくのです。

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