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Little Feat「Dixie Chicken」(1973)

アサイラムのリンダ・ロンシュタットが爽やかなカントリーアルバムを発表していた頃、バーバンクのリトル・フィートはねちっこいスワンプなアルバムを発表してました。アメリカン・ミュージックは奥深いものです。

そのリトル・フィートですが、アルバムを2枚発表後、ベースのロイ・エストラーダが脱退してしまいます。その後加入してきたケニー・グラッドリー、そしてパーカッションのサム・クレイトン、更にセカンド・ギターにポール・バレールも加わり、6人組としてこの名作を発表します。ケニーとサムはスワンプロックの代表格、デラニー&ボニーに在籍していた人物ですので、少なからずスワンプなウネリをこのバンドに持ち込んだものと思われます。

このバンドのもうひとつのキーが、リッチー・ヘイワードのうねりのあるドラムと思ってます。そのリッチーのドラムスタイルの原型がこのアルバムにあり、明らかに6人組の効用が現れていますね。

ルーズなサザンソウルで、今やこのバンドの代名詞にすらなってしまった①「Dixie Chicken」。学生時代はこのノリ、田舎臭い音に全く反応出来ませんでした^^。ただ歳を経るにつれて、このうねりに身を委ねる快感を段々と感じられるようになってしまい、今やすっかり愛聴曲となっています。
ボニー・レイットエミリー・ハリスジェシ・ウィンチェスターが参加しているライヴ映像がありました。うねりを堪能してみてください。

しかし私は好きなのは①以上に②「Two Trains」なんですね。
イントロこそ、ちょっと怪しげで、ノロノロと曲が進みますが、サビでのファンキーな女性コーラス、ローウェル・ジョージの強烈なスライドが飛び出し、このバンドの本領が発揮されてきます。彼等の音楽をスワンプと呼ぶには、ちょっと抵抗があるのですが、それは多分にファンクの要素が入り込んでいるからだと感じてます。この楽曲はサザンファンク的なノリで、彼等のグルーヴ感がすごく感じられますね。

と思いきや、「Willing」を彷彿させるフォーキーな③「Roll Um Easy」。「Willing」もそうですが、この曲もリンダ・ロンシュタットがカバーしてましたっけ。味わい深い1曲です。

④「On Your Way Down」のイントロの雰囲気は、いつもバッド・カンパニーを連想してしまいます。バッド・カンパニーとリトル・フィート、一見何のつながりも感じられませんが、音楽的な共通項はありそうです。
さてこの曲ですが、アラン・トゥーサンのカバーで、ディープなサザンソウルです。いつ聴いてもハードボイルドな雰囲気を持った楽曲だなあと思ってしまいます。

ライヴの定番ソングである⑧「Fat Man in the Bathtub」は当然ライヴが映える1曲ですが、やっぱりこのスタジオ録音バージョンもいいですね。
スタジオライヴ映像をアップしておきますが、どうですか、このノリ、グルーヴ感。そしてローウェルの味のあるヴォーカルとギター。堪りませんね。

アメリカのルーツを感じさせる素晴らしいアルバムですね。リトル・フィートは商業的には成功したとは言いがたいバンドですが、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、素晴らしい功績を残したバンドです。スワンプ、ファンク、サザンソウル、カントリー、フォーク・・・。真似のできない、彼等独自のサウンドが堪りません。

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