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Pat Metheny Group「American Garage」(1980)

パット・メセニーが新作を発表されました。「Road To The Sun」。パットが作曲・編曲した2つの組曲を違うギタリストが演奏するというもの。1曲だけパット自身が演奏しておりますが、その曲も42弦ギター(!)用にアレンジした楽曲。環境音楽的なアルバムなんですね。ですから往年のパットの作品とは別物…と捉えた方がいいかもしれません。常に進化しているパットらしい。

久しぶりにパット・メセニーが聴きたくなり、当然のように名作「American Garage」をチョイス。1980年の名作。パットの音楽は、ブラジリアンミュージックや環境音楽なんかとのクロスオーバーから、段々芸術的な評価が高くなっていきました。ですから本作を含む初期2枚よりも「Still Life」等ゲフィンからリリースされたものの方が人気が高いような気がします。ただ、ロック、ポップスなんかが好きな私としては初期、特に本作は捨てがたい魅力があります。というかこちらの方が、後のパットの作品より好みかもしれません。

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実に爽やかなジャケットですよね。というか単純にトレーラーハウスしか写っていないんですが、それとコントラストが美しい青空に目が行ってしまいます。このジャケを象徴するようなオープニングナンバーが①「(Cross the) Heartland」です。イントロから爽やかな風が疾走する感じが素敵なんです。それはライル・メイズが奏でるアコースティックなピアノに導かれ、パットの爽やかなギターが宙を舞うような感じ…。聴いて頂ければ分かります。あとジャコ・パストリアスにソックリなマーク・イーガンのプレイも光ります。
この曲、小さなライブハウスで演奏するPMGの貴重な映像がありましたので、アップしておきますが、音がスタジオ録音と同じで、演奏力がスゴイです。パットとマークのハモるプレイとか、9分過ぎからエンディングにかけての躍動感とか、とにかく鳥肌モノ。曲は終わった瞬間、私も観客と一緒に歓声を上げてしまいました(笑)。

素敵なフュージョンナンバーの②「Airstream」。Airstreamってもちろん気流って意味ですが、米国のキャンピングカーのブランドでもあるようです。ジャケのことですね。楽曲は気流を感じさせる爽やかなナンバーなので、ダブルミーニングかと思われます。ここでもパットのギターの音色とマークのジャコばりのベース音が素晴らしい。休日にゆっくり聞き流していたいナンバーです。

本作中、一番知られているナンバーが、アルバムタイトルトラックの④「American Garage」。PMG唯一の(?)ロックナンバー。イントロからシャウトするカウントがロックっぽい。ちょっとR&B的なノリも感じさせますが、それはライルのピアノがここでは珍しくファンキーだからでしょうね。ひょっとしたらライル、スタッフのリチャード・ティーからの影響も受けているのでしょうか。パットのギターは、やっぱりパット節全開。個性的なギタープレイですね。

本作はたったの全5曲、35分強…ですが、PMGの魅力が詰まったアルバムです。ライルのプレイも心地いい。
最後に昨年惜しくも亡くなられたライルを追悼する意味で、彼の華麗なピアノプレイ映像をアップしておきます。R.I.P. Lyle Mays…。


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