England Dan & John Ford Coley「Dr.heckle And Mr.jive」(1979)
AORは大好きなジャンルで、結構聴き漁っているつもりなんですが、まだまだ未開拓な名盤がいっぱいあります。今回ご紹介するアルバムも、そんな中の一枚。
イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー(以下ED&JFC)の「I'd Really Love To See You Tonight」って曲が大好きなんですが、一聴してお分かりの通り、ちょっとカントリー&フォーキーな、爽やかなソフトロックっていったところでしょうか。ED&JCにはそんなイメージしかなかったので、本作を聴いて驚愕。これはTOTOではないか…と思ってしまうくらいの豪快なAOR。またクオリティの高い楽曲群…、実に素敵なアルバムです。
アルバムトップの①「Hollywood Heckle and Jive」のイントロのギターを聴いただけで、これがED&JFCと思ってしまいました。そしてこのギターのトーン、どう聴いてもスティーヴ・ルカサー(笑)。ドラムもイントロ一拍目のスネアで絶対ジェフ・ポーカロって分かります。特にエンディングのギター弾きまくりとグルーヴィーなドラムはどう聴いてもTOTOの演奏ですね。ちなみにベースはリーランド・スカラー。楽曲はイングランド・ダン(ダン・シールズ)とジョン・フォード・コーリーの共作。いい曲書きますね~。
②「What Can I Do With This Broken Heart」はフィリーソウルばりのオーケストラアレンジが印象的。アレンジはジーン・ペイジ。この人はモータウン系のアーチストのアレンジを数多く手がけた方。レオン・ウェアのアルバムも彼でしたね。ED&JFCってカントリー系の香りを感じていたのですが、本作では完全にソウルフルなアレンジに転身。AORもソウルから派生したようなものですからね。
AORの泣きのバラードの③「Broken Hearted Me」。これはランディ・グッドラムの作品です。後にアン・マレーもカバーした名曲。ジェイ・グレイドンと思しきハーモナイズド・ギターが聞えてくるパートがありますが、ギターはリッチー・ジト。この人もAOR系ではよくお見かけします。
⑤「Children of the Half-Light」こそ完全にTOTOと間違ってしまうくらいの楽曲。中間の盛り上がり、ちょっとプログレッシブな展開、初期のTOTOそっくり。ギターもスティーヴ・ルカサーっぽいんですが、やっぱりルークのギターでした。ヴォーカルも気のせいかルークっぽい。この曲を初めて聴いて、ED&JFCの楽曲って分かる人って、どれだけいるでしょう。
⑦「Love Is the Answer」はトッド・ラングレンが1977年に発表した楽曲。ED&JFCは見事なAORソングに仕立ててます。シングルカットもされました。ソプラノ・サックスはアーニー・ワッツの名演です。
1972年、日本でのみヒットした「シーモンの涙」。あの当時と本作と、全く音は違うし、違うバンドと思ってしまうくらい。でもいい曲を作っているっていう本質は外してません。ただ残念ながらED&JFCは本作で解散してしまいます。
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