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Small Faces「Ogden's Nut Gone Flake」(1968)

洋楽を聴き始めた頃、スモール・フェイセズについては全く知識がなく、本作のジャケットだけが妙に印象に残っていました。
スモール・フェイセズ、ザ・フーと並び称される英国モッズバンドで、メンバーは スティーヴ・マリオット、ロニー・レーン、ケニー・ジョーンズ、イアン・マクレガン。スティーヴ・マリオットはのちにハンブル・パイを結成、ロ二ーとケ二ー、イアンはロッド・スチュアート、ロン・ウッドと共にフェイセズを結成します。そういった意味ではこのスモール・フェイセズ、名うてのミュージシャンが揃ったバンドといえます。

これらモッズ野郎が放った名作が本作。ビートルズの「サージェントペッパー」以降、コンセプトアルバムが流行りましたが、これもそのうちの1枚。
A面が「オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク」サイドで、素晴らしい名曲集といった感じ。B面が「ハピネス・スタン」サイドで、スタンリー・アンウィン氏のナレーターを曲に挟み込む形で完成させたロック・オペラなのです。

まず驚いたのが①「Ogdens' Nut Gone Flak」。コンセプトアルバム仕立てにするために敢えてこのインストナンバーをトップに持ってきたようですが、当時のサイケ感覚も感じられる素晴らしいナンバー。ちょっとダウンビート的なノリがGOODです。
アップした映像は口パクなんですが、ロ二ーの叩きつけるようなベースプレイがかっこいいですね。

そしてまた②「Afterglow (Of Your Love)」が素晴らしい。イントロは英国バンドらしいフォーキーな雰囲気を醸し出してますが、もちろんそれはイントロのみ。後ろでキース・ムーンばりのドラミングを奏でるケ二ー、そして何といってもスティーヴのヴォーカルが非常にソウルフルでかっこいい。

③「Long Agos And Worlds Apart」のみはイアンのヴォーカルです。もちろんイアンが単独で作った作品(他の楽曲はスティーヴとロ二ーが中心に作った曲)。手拍子がいい味付けになってます。またフェードアウト、フェードインが効果的に使われてますね。

恐らく従来のスモール・フェイセズらしい⑤「Song Of The Baker」。
トロッグスの「Wild Thing」を連想させる太いギターリフがいいですね。
アップした映像、最後の最後に一瞬、本作のナレーターであるスタンリー・アンウィン氏と思しき人物が映ります。

本作では一番有名かもしれない楽曲が⑥「Lazy Sunday」。
前曲とのギャップがありすぎて、そこがまた面白い! 非常に懐の深いバンドだったんですね。
ある意味、イギリス臭い楽曲かもしれません。そういえばこのアルバム、全英ではNO.1 を記録してますが、全米では全く不発だったようです。

⑦「Happiness Stan」からはロックオペラが始まります。といっても1曲1曲の楽曲のクオリティが非常に高く、もちろん単独でも十分楽しめます。
例えば⑧「Rollin' Over」なんかは、本作では一番R&B的な色彩が強いかもしれません。
イントロなんかブラックフィーリングに溢れてますよね。いや~、このグルーヴ感も堪りませんね~。

こんなに素晴らしいアルバムを発表したにも関わらず、メンバー間の…、というかスティーヴと他のメンバーとの間での方向性の違いから、この年の大晦日のコンサートを最後にスティーヴはバンドを脱退。実質、スモール・フェイセズは解散することになります。
前述の通り、このバンドの息吹はハンブル・パイとフェイセズへ受け継がれていきます。


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