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The Traveling Wilburys「Traveling Wilburys Vol.1」(1988)

久しぶりに80年代のフォーエバーな音楽を。ジョージ・ハリスンの命日も近いので…。
1988年、突然覆面バンドがデビューしました。でもその声から誰がメンバーかは容易に分かってしまいます。ジョージ・ハリスン(Otis Wilbury)、ジェフ・リン(Nelson Wilbury)、トム・ペティ(Charlie T.Jnr)、ロイ・オービソン(Lefty Wilbury)、ボブ・ディラン(Lucky Wilbury)。すごいメンバーですね。

元々はジョージ・ハリスンの「Cloud Nine」からのシングル「This is Love」のB面に収録する新曲について、ジョージがプロデューサーでもあるジェフ・リン、そしてロイ・オービソンに相談。「Handle With Care」を収録することとなります。
収録はボブ・ディランのホーム・スタジオ。そしてたまたまジョージのギターを預かっていたトム・ぺティ。この2人も合流し、最終的には5人で「Handle With Care」を完成させますが、この楽曲があまりにも素晴らしいかった。その勢いでこの覆面バンドが結成されるに至ります。
(一説にはレコード会社がメンバーの権利関係から「Handle With Care」のジョージ名義での発表を嫌ったとの説も)

このアルバムの時代に逆行するようなギターを中心としたアコースティックで素朴な音楽は、多くのリスナーの心を捉え、大ヒットを記録しました。

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①「Handle With Care」、もうこの1曲だけでも聴く価値は十分あります。いかにもジョージの作品らしい作り、ジェフ・リンが料理したと思われるアレンジ、どれも音楽の魔法を感じさせます。特にジョージのスライド・ギター、ボブのハーモニカなんかは味わい深く、いつ聴いても心が動かされます。ロイのハイトーン・ヴォーカル、ボブ&トムの投げやりなヴォーカルも味があります。気のせいかジョージのヴォーカルもボブ・ディラン調のように聴こえますね。

軽快なロカビリーの③「Rattled」。
ジェフ・リンが軽快に飛ばします。この1988年に、こんなフィフティーズ・ロカビリーが聞けるなんて素晴らしい。

レゲエ調のスカリズムがユニークな④「Last Night」。
こちらはトムがフューチャーされてます。Bメロのロイのヴォーカルも素晴らしいです。ちょっとコミカルなMVも微笑ましいですね。

一方あくまでもマイペースなのがボブ・ディラン。この⑥「Congratulations」においてはリード・ヴォーカルを担当してますが、キーが低いのか、なんとなく歌い辛そうな感じに聴こえます。でも実はそれを狙った歌い方なのか、あくまでもボブ・ディランしてます(笑)。

でましたジョージの⑦「Heading for the Light」!
ちょっとシャッフル系のリズムはビートルズの「I Want To Tell You」を思わせますが、もっと明るいムードの楽曲。間奏のサックスはジム・ホーン。ちなみにこのアルバムのタイトなドラムはジム・ケルトナーですね。
このアルバムのなかでは①に次いでお気に入りの1曲です。

エンディングの⑩「End of the Line」はジョージ→トム→ジェフ→トム→ロイとメンバーが交互にリードを取ります。カントリータッチの味わいのあるナンバー。
アップした汽車のなかでの演奏シーンのPVにはロイは映ってません。ロッキングチェアに彼のギターが揺れてます。そして彼の写真が・・・。
1988年12月、ロイは心筋梗塞で急逝してしまいます。このトラベリング・ウィルベリーズで奇跡の復活を遂げ、これから第一線で活躍していく直前での出来事でした。恐らく4人のメンバーのショック、相当なものだったのだろうと推察されます。ご冥福をお祈りいたします。

この後ウィルベリーズはデル・シャノンを迎えてVol.2の制作に取り掛かりますが、そのデルが直後に自殺。結局4人でVol.3を制作、1990年に発表されてます。そのVol.3も一定の商業的成功を収めてます。

この後、ジョージやトムも亡くなってしまい…。ジェフ・リンはビートルズ・マニアで有名ですが、彼やディランにとっても、このひと時のバンドは良き思い出なんでしょうね。

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