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Billy Joel「An Innocent Man」(1983)

昨日のビリー・ジョエルの東京公演、良かったようですね。
私が洋楽を聴き始めた当時、例えばホール&オールとかジャーニー、REOスピードワゴン、そしてビリー・ジョエル等が大活躍していた時期で、特にビリーの本作は、洋楽聴き始めの少年にとってはワクワクさせてくれるアルバムでした。

ビリー・ジョエルは1980年に70年代ビリーサウンドの完成形「Glass Houses」を発表。その後重厚な「The Nylon Curtain」を1982年に発表し、ある意味音楽的な頂点を極めたこともあり、原点回帰するという意味で、60年代アトランティック・ソウル、モータウンサウンドのオマージュとして本作が制作されました。
恐らくビリーも楽しみながら制作したことと思われます。

とはいっても当時の少年(私)は、そんな薀蓄よりもシングルヒット曲しか興味はなく、⑤「Tell Her About It」(邦題「あの娘にアタック」)と⑥「Uptown Girl」を何回も聴いてました。

今聴くと「Uptown Girl」のイントロのドラムフィルイン、かっこいいですね。本作のドラマーはもちろんビリーバンドのLiberty Devitto。この人のドラムは大好きです。ちょっと軽めのスネアで、軽快にビートを刻むドラマーですよね。この「Uptown Girl」なんて、彼の好プレーが光ります。ちなみにこの曲は当時付き合っていたスーパーモデルのクリスティー・ブリンクリーのことを歌ったもの。後にめでたく結婚(ただし離婚してしまいましたが・・・)。

当時はMTV黎明期で、とにかくビリーのこの曲のプロモがよく流れていた記憶があります。⑥「Uptown Girl」、今見ると、ちょっと古臭い芝居掛かった80年代らしいPVですね。

それにしても①「Easy Money」や⑦「Careless Talk」のソウルフルなビリーには当時のリスナーは驚いたでしょうね。ちなみに少年(私)はこんな曲が収録されていることも気付きませんでした(笑)。

今聴き返して、本作の個人的白眉は以下の3曲かなあと思ってます。

③「The Longest Time」。ビリーが初挑戦したアカペラナンバー。最初は他のグループにバックを歌ってもらったそうですが、どうもしっくりこない。そこでプロデューサーのフィル・ラモーンのアドヴァイスでビリー本人がやることになったそう。フィフティーズ・ムード漂うアカペラナンバーですね。

④「This Night」。ご存知スローなダンスナンバー。ビリー曰く「ヒックスヴィル高校のダンス・パーティーを思い出す」とのこと。
サビの部分はベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフとしたもの。クラッシックをロックに取り入れた楽曲は数多く存在しますが、本作は間違いなくベストトラックのひとつでしょう。ビリーもこの曲を作ったときは痺れたのではないでしょうか。特に転調したところ、今のビリーに声量感あるこの部分を歌いきれますかね~。ホント名曲です。

そして⑨「Leave a Tender Moment Alone」。こういう美しいメロディのポップスって大好きですね~。
「優しいひとときをそっと、このままにしておいて・・・」
歌詞もいいですね~。
そしてこの曲のもうひとつのポイントは"Toots"Thielemansの名ハーモニカ。美しいメロディと歌詞、そしてそれを彩るハーモニカ。何も言うことないでしょう・・・。

本作、ビリージョエルバンドをコアに、随所にラルフ・マクドナルド、リチャード・ティー(「あの娘にアタック」のピアノ)、エリック・ゲイル、デヴィッド・サンボーン、マイケル・ブレッカー等が参加していたんですね。これも気付きませんでした。

あれから41年が過ぎましたが、「Uptown Girl」なんか聴くとあの当時を思い出し、妙にワクワクしてますね。ビリー有難う!!

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