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Valerie Carter「The Lost Tapes Vol.2」(2022)

いよいよGWに突入ですね。私はそれほどの用事もないので、音楽三昧の日々を過ごすことになりそうですが…。

ということで1日早く、待ちに待った1枚をご紹介致します。それはヴァレリー・カーターの未発表音源集の第二弾「The Lost Tapes Vol.2」。先週発表され、サブスクでも数日遅れて解禁となったので、ここ最近よく聴いております。
全12曲。全曲が未発表音源かと思ったら、7曲は彼女のアルバムには未収録ながらも既発表曲。純然たる未発表音源は5曲と、さすがに前回の「The Lost Tapes」とは構成がちょっと違います。ただその既発表曲も、熱心なヴァレリー・ファン以外はあまり知られた楽曲でもなく、全曲を通じて十分楽しめる内容となっております。

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今回もプロデュースはヴァレリーの旧友でもあり、ミュージシャンのキャシー・クラッシュが担当しております。

まずは私が一番気に入ったナンバーの④「Indivisible」。今回のアルバムのハイライト・ナンバーかもしれません。デュエット相手はジョン・リンド。申すまでもなく、ハウディ・ムーン時代のバンド・メイトですね。ジョンも残念ながら今年1月に亡くなられてしまいました。このトラック、AOR系バラードで実にイイのです。ラリー・ジョン・マクナリーとジョン・リンドの共作。
この曲はラリー・ジョン・マクナリーの名盤「シガレット・アンド・スモーク」のアウトトラック。ギターはバジー・フェイトン。ヴァレリーの艶やかなヴォーカルが堪能出来ます。

①「Day After Day」はなんとジャクソン・ブラウンとのデュエット。
ヴァレリーとジャクソン・ブラウンとの交流は有名ですが、この音源は正直知りませんでした。2010年のチャリティ・アルバム「SingSOS: Songs of the Spectrum」に収録されていたナンバー。力強いドラムが印象的ですが、基本はアコースティックタッチなナンバーです。ヴァレリーとジャクソンの息の合ったデュエットが聴けます。
下の写真は恐らくこの頃のスナップショット。仲良さそう~。

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②「Two Sides (To Every Situation)」の存在は知っておりました。
こちらはアル・クーパーの1982年のアルバム「Championship Wrestling」にヴァレリーがゲスト参加した楽曲。R&B色の濃いソウルフルなナンバー。ジェフ・バクスタータワー・オブ・パワーも参加しております。重たいドラムはエド・グリーンです。こうした楽曲も歌いこなすヴァレリー…、流石です。

そしてこちらもお気に入りの1曲の③「I'm In Love With You」。前述の④「Indivisible」と同様にラリー・ジョン・マクナリーのアルバム録音時のアウトトラック。
ラリーとのデュエット音源も存在しますが、こちらはヴァレリー単独で歌っている未発表音源。ヴァレリーのファルセットも素晴らしい。オリジナルはレン・ウッズが1979年に発表したアルバム「Out Of The Woods」からの1曲。実はラリーの作品。そしてそのアルバムはアル・マッケイとジョン・リンドがプロデュースしたもの。

親友のローラ・アレンの作品の⑨「Your Christmas Day」。
ローラ自身も1996年に発表したアルバム「Hold on to Your Dreams」で歌っております。美しいメロディとヴァレリーの澄んだ声が印象的なナンバー。

そしてこの素晴らしいアルバムのエンディングは既発曲の⑫「Cook With Honey」。ハウディ・ムーンの唯一のアルバム「Howdy Moon」に収録されていたナンバー。
この曲、知る人ぞ知る、ヴァレリーの超名曲なので、本作の趣旨(ロストテープ)からするとここに収録されるべきではないと思いますが、やはりヴァレリーを偲ぶ意味でもエンディングはこの曲で…ということだったのでしょう。ヴァレリーがハウディ・ムーンとしてメジャーデビューする前、1973年にジュディ・コリンズがこの曲を採り上げたことで、ヴァレリーは注目を集めることになりました。そしてハウディ・ムーンのアルバムの中でも「Cook With Honey」は光り輝いておりました。
あまりにも美しいストリングスのアレンジは後にTOTOを結成するデヴィッド・ペイチ。美しいメロディと素晴らしいヴァレリーのヴォーカル、絶品です。

ちなみに本作は全曲がYouTubeでもフルで聴けるようになっております。恐らく本作を企画したヴァレリーの遺族、並びにキャシー・クラッシュは本作で儲けようなどとは考えず、純粋に素晴らしいヴァレリーの歌声を皆に聴いてほしかったんだろうなあと想像します。そしてヴァレリーを忘れないでいて欲しいと思ったんじゃないでしょうかね。

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