Wilson Brothers「Another Night」(1979)
スティーヴ・ルカサーがフューチャーされたAORの名盤!
AORの名盤として名高いウィルソン・ブラザーズ、唯一のアルバムです。当時兄、スティーヴが28歳、弟ケリーが19歳!。以前ご紹介したキーンブラザーズと似てますね。しかしウィルソン・ブラザーズの方が相当AORしてます。
ジャケットからしてAOR度が高いですね。
本作、プロデュースはカイル・レーニング。この後、ボビー・コールドウェルのプロデュースなんかもしていた方です。レコーディングはLAと思いきや、実はナッシュヴィル。ナッシュビルのスタジオミュージシャンたちが結集して制作されてますが、スティーヴ・ルカサーが表題作を除く全作品でギターを弾きまくってます。
そうです。本作はウィルソン兄弟のクオリティの高いソングライティングセンスと、ルカサー’s アルバムといっていいくらい目立つギターが聴きどころなんですね。
アーニー・ワッツのサックスをフューチャーした③「Thanking Heaven」のメロウさの痺れますが、驚きは軽快な④「Shadows」。
このギターがルークとはとても思えません。ちょっとジャズ系のオクターブ奏法で華麗なギターソロをきかせます。ハードに押しまくるばかりと思っていましたが、こんな器用なことも出来るんですね~。恐るべしルーク。
⑤「Just Like A Lover Knows」はちょっとブルージーなスローナンバー。
地味な印象の曲ですが、ここでもルークのギターソロが光ってます。音自体はルークの音ですが、すごくエモーショナルなソロですね。エンディングまで弾きまくってます。本作録音に、ルークは殆ど時間をかけなかったらしいのですが、それにしてはこのトラックも含めて完成度の高いソロを聴かせますね。
トッド・ラングレンのカバー⑦「Can We Still Be Friends」は曲自体が有名ですね。個人的には⑦~⑩の流れが大好きです。
⑧「Ticket To My Heart」は女性コーラスとブラスをフューチャーした小粋なAOR。こうした洒落た感じの曲では、ルークはバッキングギターに徹してます。
ウィルソン・ブラザーズの楽曲中、一番AOR指数が高いのが⑨「Take Me To Your Heaven」。後にスティーヴィー・ウッズがカバーしますが、どことなく角松敏生の「Take me to the Sky High」を連想してしまいます。青空の下、聴くと爽快な一曲。ウィルソン・ブラザーズのソングライティングのセンスの良さを感じさせますね。
⑩「Like Yesterday」も人気が高い1曲です。切なさを感じさせる楽曲。
夏が大好きな私としては、出だしの ♪ Do you remember summer Lost in endless summer ♪ の歌詞だけでも胸が締め付けられてしまいます。
ルークのギターばかりが目立つ作品ですが、ウィルソン・ブラザーズのオリジナル作品も素晴らしいですね。
その後の彼らの動向は分かりませんが、2000年3月に兄スティーヴは亡くなったらしいです。
残念ですね。
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