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Karla Bonoff「Wild Heart of the Young」(1982)

カーラ・ボノフは本当に良質な楽曲を作り出す素晴らしいライターです。その数あるカーラの楽曲で一番初めに聴いたのは本作収録の「Personally」です。

ホイチョイ・ムービーの波の数だけ抱きしめてのサントラを何回も聴いていた時期があったのですが、そのサントラに「Personally」は収録されていたんです。どっしりくるリズムにAOR的なクールさ、そしてカーラの歌唱力にすっかり魅了されてしまいました。
後にそもそもカーラは、以前はもっとアコースティック・タッチな楽曲を得意とするアーチストであったことを知ることになるのですが・・・。

そのカーラですが、1969年にケニー・エドワーズアンドリュー・ゴールドウェンディ・ウォルドマンブリンドルを結成。しかしながら、僅かシングル1枚を発表したのみで解散。ケニーはリンダ・ロンシュタットの裏方マンとして活躍。ウェンディ、アンドリューもソロデビューを果たし、一番最後にカーラがデビューを果たします。

本作はカーラ3枚目のアルバムですが、アコースティック色の強い前2作と違い、ドラムスにラス・カンケル、ベースにボブ・グロウブが全曲参加し、ビート感を強調した作りとなっております。
またジャケットは何かを暗示しているような、ちょっとドキッとさせられるものですね。

まずは前述の①「Personally」。1,2枚目を愛聴してきたリスナーにとっては、ちょっと違和感のある曲に聴こえたのではないでしょうか? 本作中唯一の他人の曲であり、現在のところ、カーラ最大のシングルヒット曲。曲を引っ張っているのはメロディアスなベース。ドン・ヘンリーとティモシー・シュミットのコーラスもいいですね。
ドシッとしたリズムは後期イーグルスを彷彿させます。それを狙った選曲だったのかもしれませんね。

やたらとドラムが重い③「I Don't Want To Miss You」は曲そのものはカーラらしいポップス。こういう曲は大好きですね~。

カーラといえばやはりバラード。本作にもあります。④「Even If」・・・、大好きな曲です。美しいメロディライン、覚えやすいサビ、そしてカーラの美しいアルトヴォイスが泣かせます。
コーラスはケニー・エドワーズ、アンドリュー・ゴールド、ウェンディ・ウォルドマン。そうです、ブリンドルの面々です。

美しいバラードは続きます。⑤「Just Walk Away」も名曲。
壮大なバラードで、歌詞も泣かせますね。女性の視点に立って詞を書かせたら、カーラの右に出るものは居ないのではないでしょうか(キャロル・ベイヤー・セイガーもいますね)。
間奏の泣きのサックスはデヴィッド・サンボーン。

表題曲⑦「Wild Heart Of The Young」もいい曲ですね~。こちらの方は胸に染み入る切ない曲といったらいいでしょう。
YouTubeに以下アップした映像がありました。
これ全米で大ヒットしたTVドラマ「The Wonder Years」の一シーンのようです。なぜカーラの曲が? と思って調べたら、「BROKEN HEART AND BURGERS」という話で挿入歌として使われたようです。
この曲の歌詞は「誰よりもあなたを愛していた 若さゆえの一途な情熱だった」と歌われており、改めてこの映像を見ると、なにか妙にマッチして切なくなってきます。

カーラというと1、2枚目が名盤と称されてますが、実は本作も演奏がソリッドになってもカーラのメロディラインは健在で、味わい深い名盤です。あとこの後1988年に発表された「New World」もいいアルバムですね。


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