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Area Code 615「Trip In The Country」(1970)

私の洋楽との出会いはモンキーズがキッカケ。再放送で放映していたモンキーズ・ショーを見て、そこで演奏される数々の音楽に惹かれたのでした。
メンバーの中でとくに大好きだったのが先日亡くならたマイク・ネスミス。モンキーズの楽曲で一番好きな楽曲は…というと、多くの方が「Daydream Believer」や「I'm A believer」を挙げると思うのですが、私はマイク作の「Listen To The Band」や「Good Clean Fun」なんかが大好き。
その2曲、実はナッシュヴィル・セッションと呼ばれたもので、モンキーズのメンバーはマイクのみ、後はナッシュヴィルの名うてのミュージシャンが参加。そのセッションメンバーの多くが、後のエリアコード615のメンバーでした。エリアコード615なんてバンド、殆どの方が知らないでしょうね(苦笑)。

エリアコード615はナッシュヴィルの市外局番を表すんですが、ナッシュヴィル自体はカントリーの聖地でもあります。そのナッシュヴィルでシンデレラ・スタジオを経営するウェイン・モスを中心としたバンドがエリアコード615。そして彼等セッションミュージシャンを一躍有名にしたアルバムが、1966年発表のボブ・ディランの「ブロンド・オン・ブロンド」。この後、前述のモンキーズ(というかマイク・ネスミス)の他、多くのミュージシャンがナッシュヴィル詣出をすることになります。

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エリアコード615は2枚のアルバムを発表しておりますが、本作は1970年発表のセカンドアルバムです。ファーストはビートルズのカバーを含むものでしたが、本作では全作オリジナル、かつカントリー以外にも様々な音楽に挑戦しております。

先にエリアコード615のメンバー、ウェイン・モス(G)、ノバ―ト・バトナム(B)、デヴィッド・ブリックス(Key)、チャーリー・マッコイ(Har)、ボビー・トンプソン(Banj)、バディ・スパイカー(Vio)が参加したモンキーズの作品をアップしておきます。
まずは「すてきなミュージック」。マイクの傑作品。ちょっとサイケチックな映像はご容赦下さい(エリアコードのメンバーは映ってません)。

「すてきなミュージック」ではエリアコード615の本領は発揮されてませんが、次作の「すてきなブルーグラス」では、ボビーの華麗なバンジョー捌きと、バディの素敵なフィドルが聴けます。この音楽、最高ですね~。この曲を知らない方は是非チェックしてみて下さい。モンキーズの音楽とは思えませんので。
アップしたのはモンキーズ・ショーから。最初30秒強はドラマが流れます。

「すてきなブルーグラス」でエリアコード615のプレイを堪能したところで、本作のご紹介です。
まずトップの①「Scotland」。タイトル通り、スコットランドの音楽をモチーフにしたものでしょうか。ケニー・バットリーの力強いドラムが印象的なカントリーロック。そしてここでもフィドルとバンジョーが華麗に奏でられます。間奏のキーボード・パートだけのところはR&B、その後のサイケなギター音はバグパイプを模したものでしょうか。とにかく展開がスリリングです。

③「Stone Fox Chase」は一転してかなり黒っぽいサウンド。チャーリー・マッコイのハーモニカがカッコイイ。バックのパーカッションのプレイも光ります。①やこの曲だけ聴いても、このバンドが只者ではないことがお分かり頂けるかと思います。

⑦「Katy Hill」は「すてきなブルーグラス」に曲調が似ている、非常にスピーディーなカントリー・ナンバー。ここでもフィドルとバンジョーのプレイ、スゴイです。スティール・ギターもいいし、間奏の意外なまでのR&B的なヴォーカルにもビックリ。

このバンドの器用さが一番表れているのが⑪「Devil Weed And Me」。これはカントリーではありません。サイケロックに近いですね(笑)。しかもかなり力強い。よく聴くとアレンジもかなり凝ってます。インストバンドならではの凝りようです。

60年代に勃興したカントリーロックはバーズやグラム・パーソンズに注目が集まりがちですが、個人的にはモンキーズのマイク・ネスミスに端を発し(彼は1966年のモンキーズのデビューアルバムで既にカントリーロックをやってます)、エリアコード615のメンバーがブームを拡げていったものと思ってます。
モンキーズ脱退後、マイクが結成したファーストナショナルバンドのアルバムもなかなか素晴らしいです。

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