Steely Dan 「Countdown To Ecstasy」(1973)
本作はスティーリー・ダンのセカンドアルバムです。シングルヒットがないこともあり、ファーストアルバムほどヒットはせず、彼らのアルバムの中では地味な存在のアルバムです。あんまり聴いたことがない…って方も多いと思いますが、既に後のスティーリー・ダン的な片鱗が見られたりと、やっぱり味わい深いアルバムなんです。
バンドを意識した曲作りをした、と後にドナルド・フェイゲンが語っていたような記憶がありますが、本作ではドナルド・フェイゲンにウォルター・ベッカー、ジェフ・バクスター(G)、デニー・ダイアス(G)、ジム・ホッダー(Ds)の5人のバンドがコア・メンバーとして演奏しております。後のスティーリー・ダンのように、スタジオ・ミュージシャンを使いまくる…というようなことは本作ではまだ見られません。強いて言えばヴィクター・フェルドマンとリック・デリンジャーが、印象深いプレイを残している程度でしょうか。
本作を惑わす要因は、1曲目の①「Bodhisattva(菩薩)」にあるかもしれません。曲はストレートなシャッフル・ブギーで、ある意味、スティーリー・ダンっぽくなく、よってこの曲だけが本作では浮いているような気がします。ドナルド・フェイゲンはバンドでの演奏を意識した楽曲を作り、それがこの曲に表れているのでしょうね。後のスティーリーダンのサウンドからはちょっと想像が付かないナンバーです。
この曲は後にTOTOがカバーしてますので、先にTOTOの熱いライヴバージョンをアップしておきます。この激しいシャッフル・ブギー、結構、原曲に近い演奏ですよ。両者の演奏を聴き比べてみるのも面白いです。
2曲目の②「Razor Boy」からは完全にスティーリーダンの世界ですね。
読み切れないメロディラインも、既にここで本領発揮。音に彩りを添えているのがヴィクター・フェルドマンのヴィブラフォン。いい味だしてます。そしてファーストアルバムではリード・ヴォーカルはデヴィッド・パーマーが務めていましたが、本作では彼の名前はコーラス参加でのみ名前が見られるだけで、メンバー扱いされず、全曲ドナルド・フェイゲンがリード・ヴォーカルを務めてます。
④「Your Gold Teeth」は当時のスティーリー・ダンが得意としていたラテン系ロック。
そう、ラテン系ロックといえば、ファーストアルバムからのシングルヒットの「Do It Again」を彷彿させるナンバー。ちょっと洒落た、ジャージーな楽曲は、もうこの当時からのスティーリー・ダンの持ち味だったんですね。
⑥「My Old Shcool」は本作からのセカンドシングル。
当時のTVショー出演時の映像がありました!レアものですね~。この映像を見る限り、まだスティーリー・ダンってバンドとして機能していたって感じですね。ジェフ・バクスターもリードギタリストとして目立ってます。ウォルター・ベッカーは淡々とベースを弾いてますね。
エンディングトラックの⑧「King of the World」はイントロからスリリングです。その一翼を担っているのがジェフ・バクスターのギターワーク。よく聴くと、実に怪演。ドナルド・フェイゲンの弾くシンセも効果的。
セカンドアルバムから、随所に「らしさ」が発揮されてますね。
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