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Kenny Loggins「Nightwatch」(1978)

ここ最近、AORの名盤をご紹介していなかったので、ここらで1枚ご紹介したいと思います。

ケニー・ロギンス。エイティーズファンの間では「フットルース」「デンジャーゾーン」といった商業ロック的イメージの強い優男ですね。そのケニー、もともとはライター出身で、1971年に念願のメジャーデビューを果たします。その時のプロデューサーがバッファロー・スプリングフィールド→ポコと渡り歩いたジム・メッシーナ。ジムはケニーと意気投合し、ケニーのソロの筈が、気付いたらロギンス&メッシーナになってました(笑)。
フォーキーで優しい音楽のロギンス&メッシーナでしたが、1977年に解散。
本作はケニーのソロとしてはセカンドアルバムになります。

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プロデューサーはフュージョン界の重鎮、ボブ・ジェームス。このアルバムは、ケニーのロック色、ボブのフュージョン色が混沌と混ざったアルバムになってます。
ファンを悩ませたのがタイトル曲①「Nightwatch」でしょう。
フュージョン色の強い演奏に、ちょっとミステリアスな楽曲。親しみやすいメロディが特徴のケニーの音楽は、ここでは全く聞かれません。楽曲も長いし。恐らく当時賛否両論あったろうと思われます。私はあまりこの曲、好きではありませんね。

①でこのアルバムの行く末を思い悩んでいたら、②「Easy Driver」の軽快なイントロが・・・。
このシャッフル系のロックンロールはキーンの「ドライヴィング・サタディナイト」を連想させます。この明るくポップなケニーがいいんですよね。

さてさて、ここから3曲が、このアルバムをAORの名盤と知らしめている最大の要因なんですね。特に⑤「Whenever I Call You "Friend"」なんか涙モノです。ケニーとメリサ・マンチェスターとの共作ですが、デュエットしているのはスティーヴィー・ニックス。いい男、いい女の共演です。
この楽曲、美しいアカペラコーラスからスローに始まりますが、一転、愁いのあるメロディを残しつつ、70年代ポップス的なノリの良さを見せ始めます。サビなんか最高ですね。間奏のサックスソロもGOOD。AOR系ポップスの名作だと思います。
邦題「二人の誓い」、シングルカットされ全米No.1となりました。

それから⑥「Wait a Little While」。
これもAOR的見地からすると超名作。ケニーとボブの最良のコラボ作品でしょう。バックの軽やかな演奏はラテン・グルーヴが効いてます。イントロや間奏のフルートがいいんですよね。この曲は絶対に朝に聴きたいですね。目覚めの1曲。

⑦「What a Fool Believes」は特に説明は不要でしょう(笑)。私はやはりドゥービーのヴァージョンの方が好きですが、このちょっとロック寄りのケニーのアレンジも捨てがたい。マイケル・マクドナルドとの共作ですが、やっぱり⑤⑥⑦とケニーのメロディセンスはスゴイですね。
ここではスローでアダルトなバージョンを。マイケルも登場します!

⑧「Somebody Konws」はかなりハードなロックです。
時々ケニーのやりたいことがわからなくなるんですよね(笑)。特にこのアルバム、タイトル曲のミステリアスな感じ、②のロックンロール、⑤⑥⑦のAOR、そしてこの曲・・・。純粋にやりたいようにやっているということなんでしょうけど、ちょっとアルバムの統一感からすると如何なものかと思ってしまいます。

とはいえ本作、⑤⑥⑦の強烈なAOR3連作のために、ついつい聴いてしまうんですよね。他の曲も、1曲1曲はいい曲ですけど。
そしてこの後、ケニーは80年代、更に商業的な成功を収めていきます。


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