Dan Fogelberg「The Innocent Age」(1981)
日本では全く知名度の低いダン・フォーゲルバーグ。既に故人となられた方ですが、しばしば「ひとりのCSN&Y」と称される程、美しいハーモニーとメロディを聴かせてくれます。
1972年のデビュー以来、一人多重録音による徹底した音へのこだわりを持っていたダンが、1981年に自身の音楽の集大成として発表したのが本作。アルバム2枚組の超大作です。
このアルバムが何か違うと予感させる①「Nexus」。
壮大な大自然を連想させる広がりのある音が大好きです。いい感じに絡んでくる女性ヴォーカルはジョニ・ミッチェルです。こうしたアコースティック乍らもグルーヴ感たっぷりな楽曲はジョニがやりそうですね~。
この曲の間奏、パーカッシブなコンガが堪らなくいい!アフリカの壮大な草原を連想させます。
イノセントなダンもいいのですが、本作ではイーグルスっぽいアメリカンロック調の曲も魅力的です。例えば④「Lost In The Sun」や⑨(LPではC面1曲目)「Stolen Moments」。
コーラスも爽やかだし、中期イーグルスがやりそうな楽曲ですね。
イーグルスといえばグレン・フライがバックコーラスで参加している⑮「Hard To Say」はシングルヒットしました。
こうしたカントリー系メロウなロックは堪らなくいいです。学生の頃、アメリカ、しかもカリフォルニアに憧れた時期があり、ホームステイにも行ったのですが、このテの曲はそういったカラッとしたカリフォルニアを連想させますね。微妙に聴こえてくるサックスはトム・スコットです。
本作のハイライトはやはり⑥~⑧のシングル3曲でしょうか…。
特に⑦「Leader Of The Band(邦題「バンドリーダーの贈り物」)」は私のフェイバリットソングなんです。洋楽を聴き始めの頃にこの曲に出会い、なんて美しい曲なんだろうと、中学生ながらも思ったものです。当時は日本でもシングルリリースが遅れ、日本未発売の状態が続いてましたね。
ダンの真骨頂であるイノセントな部分が現れた最高な1曲。コードも意外と簡単ですが、ダンのように繊細には弾けません^^。
♪ The leader of the band is tired and his eyes are growing old
But his blood runs through my instrument
and his song is in my soul ♪
そしてこう語りかけます。
♪ I thank you for the kindness
and the times when you got tough
And, papa, I don't think I said 'I love you' near enough ♪
父親への思いを歌ったものですね。これはダンの実話でしょうか。堪らんです・・・。
映像をたっぷりと堪能してください。
カントリー好きには堪らない⑥「Run For The Roses」も忘れてはいけない1曲。
この曲、カントリー界の大御所、アル・パーキンズとジミー・ファッデン(ニッティーグリッティーのメンバーですね)が参加してます。イーグルスの「ハリウッドワルツ」を連想してしまう、カントリーバラードです。これもいい!!
ダン・フォーゲルバーグ。あまりにも日本では知名度がないのですが、本当に味わいのある楽曲を書く人です。本作はボリューム感ありますが、カントリーやフォークが好きな方には堪らない1枚ですね。
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