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Laura Nyro「Walk the Dog and Light the Light」(1993)

秋の3連休…。私は父の介護もあり、一足先に休暇を取得し、4連休としております。

まったりするにもいい季節となりました。ということでちょっとハートウオーミングなローラ・ニーロのアルバムをご紹介致します。
ローラ・ニーロは知っていても、このアルバムをリアルタイムで聴いていた方は少ないかもしれません。
60年代から活躍していたローラですが、残念ながら1997年4月、49歳の若さで亡くなられております。ローラは1994年のツアー中に、自らが癌であることを知ったそうですが、本作制作中にはまだその認識は無かったのかもしれません。本作におけるローラは、優しさに満ち溢れたような作風で、ローラに対してちょっとエキセントリックなイメージのあるものにとっては意表を突かれたように感じられるかもしれません。
9年振り、9作目の、そして遺作となったローラのアルバム。プロデュースはローラ自身とあのゲイリー・カッツ。スティーリー・ダンの仕事でも有名なゲイリーですが、本作でもかなりクリアな音作りが為されております。

オープニングはクリスタルズの1962年のヒットナンバーの①「Oh Yeah Maybe Baby」のカバー。こちらはフィル・スペクターとハンク・ハンターの共作。
こちらを当時のキャロル・キング風にアレンジ。いや、本当にキャロルっぽい。そして原曲のフィル・スペクター・サウンドは微塵も感じさせない、完全にローラ・ニーロのオリジナルみたいに聞こえます。この厚みのあるコーラスもいいですね。ゲイリー・カッツの仕事なのか、各楽器の音も非常にクリアでいい音。正直1曲目から、これがあのローラ・ニーロなのかと思ってしまうくらいコンテンポラリーな仕上がりで優しさに満ちてます。

往年のクワイエット・ストーム的なサウンドの②「A Woman of the World」。
80年代に流行ったアニタ・ベイカーのようなサウンド、クワイエット・ストーム的なサウンドです。ローラ・ニーロがこうしたサウンドを奏でていたというのは、ちょっと驚きでした。こちらもエキセントリックなローラは影を潜め、暖かい愛のバラードという感じがしますね。

1曲目からこの③「The Descent of Luna Rose」までは、比較的穏やかで暖かなムードの曲が続きます。
マイケル・ランドゥの軽快なリズムギターが隠し味として効果的ですね。またマイケル・ブレッカーを中心としたホーンもいい。
このアルバムのリズム隊はほぼフレディ・ワシントン(B)とバーナード・パーディ(Ds)が演奏してます。ここでもかなりいぶし銀的なグルーヴを効かせてますね。

⑥「Louise's Church」は、イントロではソウルフルなコーラスをバックに何やら呟いているローラですが、曲自体は比較的安定感のあるポップスです。
コーラスだけ切り取れば、60年代R&B的ですが、アレンジは現代的(それでももう30年前の作品なんですが…)。エンディングになるに連れて、力強いホーンとキーボードが心地よく鳴り響いてきます。

やっぱりローラといったらちょっとエキセントリックな曲でしょう。⑦「Broken Rainbow」はリリカルなピアノをバックに朗々と歌うローラが堪能出来ます。
エキセントリックといっても、この曲も根底には「優しさ」を感じてしまいます。この曲は1985年のアカデミー賞ドキュメンタリー最優秀賞受賞の映画[「Broken Rainbow」に提供した楽曲ですね。
ちょっと画質が悪いですが、ローラのソウルフルな歌唱が堪能できる弾き語りライブの映像をアップしておきます。素晴らしい…。

最後にご紹介するのはタイトル・トラックの⑧「Walk the Dog and Light the Light (Song of the Road)」。
イントロからすごくフォーク・トラッドな音。ドラムレスなサウンドなので、よりフォーキーに聞こえますが、ローラの声は力強い。

ローラは自らの病を知った際に、自身のオリジナル作品集、カバー集、ライブの3枚のアルバム制作を計画したそうですが、最終的にはそれらは亡くなられた後、いくつかのマテリアルを集めて2001年「Angel in the Dark」として発表されます。こちらもかなり味わい深いアルバムですので、いずれまたご紹介出来ればと思ってます。

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