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Janet Jackson「All For You」(2001)

学生時代、ジャネット・ジャクソンの「リズム・ネイション」が大ヒットし、私のゼミの同期がこのアルバムを聴きまくっていたので、「なんてミーハーな奴だろう」とある種、軽蔑の念で彼を見ていたものです(笑)。
以来、ジャネット・ジャクソンのアルバムを聴くという行為自体、自分には許せないものとなっていたのですが、ジャネットの、アメリカの楽曲をサンプリングした楽曲が気に入り、当時アルバムも購入してしまいました(笑)。

その曲がアメリカの「Ventura Highway」を効果的にサンプリングし、大ヒットした「Someone to Call My Lover」。そして本作がその曲を収録したアルバムです。
この曲に代表されるように、プロデューサーのジャム&ルイス(元ザ・タイムのメンバー)の鋭角的な打ち込みリズムワークが非常に印象的なアルバムで、実はチャカチャカ鳴っているようなダンスナンバーだけでなく、実にメロウな楽曲も収録されている好盤でした。

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このアルバムには随所にインタールードが挿入されており、トータルアルバム的な印象を受けます。よくR&B系のアーチストがやるテですが、それにしてもトップのIntroがジャネットの日常的会話、というのは意表を付きます。一瞬、なんだこのアルバムは???と思ってしまいます。

実質的なトップの曲②「You Ain't Right」はオープニングに相応しいダンストラック。マイケル・ジャクソンっぽいような楽曲。この曲には別に食指をそそるようなことはなかったのですが、③「All for You」には「おっ」と思わせるものがありました。
イントロからシックを思わせるような懐かしいサンプリングが・・・。私は知りませんでしたが、チェンジというバンドの1980年のヒット曲「The Glow Of Love」という楽曲をサンプリングしたもので、その時のヴォーカルがルーサー・ヴァンドロスだったとのこと。やはりこのチェンジ、シックのようなバンドだったようですね。このシック的な、70年代後半のR&Bダンスミュージックの雰囲気が、この「All For You」からはプンプン漂います。

すごくミーハー的なポップナンバーである⑤「Come on Get Up」も普段なら聞き流すところを、このアルバムのなかに収録されていると、ついついじっくり聴いてしまいます。恐らくメロディーは安易なポップソングなのでしょうが、アレンジが飽きさせず、さすがジャム&ルイス(もちろんジャネットも)と思ってしまいます。

次に「おっ」と思ったのが⑬「Son of a Gun」。こんなサンプリングをしているとは知りませんでした。
そのサンプリングネタはなんとカーリーサイモンの「You're So Vain」。何の予備知識もなく聴いていたので、いきなりこのメロディが登場したときはビックリしました。しかもカーリーの歌付きですから。
ヒップホップ的な楽曲なので、そのイメージと「You're So Vain」・・・。意表を付きます。

実はこのアルバムのなかでの一番のお気に入りは⑭「Truth」です。
実にメロウな仕上がりで、メロディもグッときますね。往年のクワイエット・ストーム時代の香りがします。昔はクワイエット・ストーム系の音楽を積んで、よく夜のドライブへ繰り出したものです。この曲を聴きながら、そんな懐かしい思い出が蘇ってきました。いや~、いい曲ですね。

⑯「Someone to Call My Lover」は前述したとおり。アメリカの名曲を見事にサンプリングしてます。ちなみにエリック・サティのあのフレーズも効果的に挿入されてますね。この楽曲のアレンジはホント見事だと思います。

⑱「Doesn't Really Matter」も当時、大ヒットしてましたね。
この曲、サンプリングネタがあるのかと思ったら、特にクレジットはありませんでした。でも私にはどうしてもマドンナの「La isla bonita」に聴こえてしょうがありません。当時も確かそう思った記憶がありますが、皆さん如何でしょうか???(それともこれは周知の事実なのでしょうか)

ジャネット・ジャクソン、完全に侮っていました(笑)。ジャム&ルイスの力量によるところも大きいと思われますが、やはりスーパースターです。食わず嫌いはいけないものです(苦笑)。

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