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Steely Dan 「Two Against Nature」 (2000)

今更で恐縮ですが、スティーリー・ダンの8作目、「Two Against Nature」をご紹介。2017年、スティーリー・ダンの片割れ、ウォルター・ベッカーが亡くなったことは記憶に新しいと思いますが、その際にこのアルバム(そしてこの後の「Everything Must Go」も)を聴いていなかったなあと思い、かなり後追いでチェックしてました。

Aja」や「Gaucho」で売れっ子スタジオミュージシャンを起用して、完璧なまでのサウンドを作り上げていったスティーリー・ダン。プロデューサーのゲイリー・カッツドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカーが作り上げた世界観は多くのフォロワーを生んだわけですが、それから20年、本作ではどんな姿を現していたのか、すごく気になって聴き始めました。最初は正直、曲ごとの特徴が掴みづらく、またいつもの売れっ子ミュージシャンのプレイに注目!っていった訳でもなく、スルーしそうになってしまいました。でもゴルフからの帰り、車中でじっくり聴いてみると、コレがまた心地いいんですね~。すごく古くて新しいって感じがするんですよね。

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アルバムタイトルトラックの③「Two Against Nature」。
イントロからラテン・フレイヴァーたっぷり。明るい陽気なメロディかと思いきや、やっぱりそこはスティーリー・ダン。相当捻くれてますね(笑)。しばらく同じコード展開で単調。なんか不思議なリズムだなと思ったら、6/8の変拍子なんですね。メロディだけ取り出したらつまらないんですが、ホーンとかギターとか、よく聴くと楽器のアレンジが緻密。フリージャズっぽいところもあったりして、音で聴かせていくって感じでしょうか。

すごく「Aja」に収録されていた「Deacon Blues」に雰囲気が似ている⑤「Almost Gothic」。
この音は「Aja」のアルバムに収録されていても違和感ありません。クールなアルト・サックスがカッコイイですね。あまり目立ったプレイではありませんが、ギターはヒュー・マクラッケンです。

ブルージー、かつジャージーな⑥「Jack of Speed」は如何にもフェイゲンが好みそうなサウンド。
シャッフル・ビートと適度に鳴り響くホーンが心地いいですね。随所に聴かれるいぶし銀のギターはウォルター・ベッカー。せっかくなので、ウォルターのギタープレイも見て貰いたく、彼らの演奏シーンをアップしてみました。

ファーストシングルの⑦「Cousin Dupree」はスティーリー・ダン風のR&B。彼らにしては珍しく(?)キャッチーなサビを持つナンバー。音のアレンジに騙されそうですが、この曲、基本はフィフティーズ・ロックンロールやR&Bを模倣したフェイゲン色の濃い作品だと思います。結構好きですね~。

エンディングの⑨「West of Hollywood」は8分強のスティーリー・ダンお得にの長尺ナンバー。優しいエレピに導かれるイントロはスローナンバーを連想させますが、そこから一転、スピーディーなナンバーに。ここでの聴き所はウォルター・ベッカーのリード・ギターでしょうか。相変わらずいぶし銀的なプレイに徹してます。サックス・ソロが入ってくる後段からは、フュージョン的な要素も感じられます。

20年経ってもスティーリー・ダンは相変わらず…。でも本作発表から、もう20年以上が経過しているんですね。本作がそれくらい前の作品であるって、全く感じさせません。それにしてもウォルター・ベッカーの死といい、時の流れは早いものです…。

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