The Youngbloods 「Elephant Mountain」 (1969)
私はモンキーズに代表されるような60年代ポップスが長年大好きなんですが、他にもラヴィン・スプーンフルなんかも大好きです。彼等の音楽は古き良き音楽を想起させ、そんな彼等の音楽をグッドタイム・ミュージックと呼んでいたようです。そのグッドタイム・ミュージックに括られそうなバンドが今回ご紹介するヤングブラッズです。過去にブログでも、彼等のライブ盤「Ride the Wind」はご紹介済ですが、肝心のオリジナルアルバムはご紹介していなかったので、彼等の代表作をご紹介致します。
1965年結成当時のメンバーはジェシ・コリン・ヤング(Vo,B,G)、ジェリー・コービット(G)、バナナ/ローウェル・レヴィンジャー三世(Key,G)、ジョー・バウアー(Ds)の4人。ラヴィン・スプーンフルと共にニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジを中心に活動しておりました。
本作はジェリー脱退後、ニューヨークからカリフォルニアに渡り、3人で制作されたサードアルバムです。プロデュースはチャーリー・ダニエルズ。
このジャケットからのどかなカントリーロックを想像されるでしょうか。
私はこのジェシ作の④「Sunlight」を聴いて、すぐにヤングブラッズが好きになってしまいました。
こちらはカントリーロックではありません。愁いを帯びたボッサなサウンドが実に心地いいんですよね。後のフリーソウル・ブームで注目を集めた楽曲でもあります。今聴いても色褪せない洒落た楽曲、この時代にこうした楽曲を発表していたこと自体がちょっと驚きです。
メロウなエレピが素敵なローウェル作の③「On Sir Francis Drake」。
ヤングブラッズの持ち味のひとつがローウェルが奏でるエレピ。これがまた洒落た音を出してくれるんですよね。この曲は2つのパートがあって、前半がクールなインスト。後半が全く違うブルージーかつジャージーなインストナンバーに転じます。メロディセンスと3人の演奏力の高さを感じさせますね。本来のアルバムの曲順でいえばこの曲の次が上にご紹介した「Sunlight」なんです。緊張感のあるこの曲の次に聴く「Sunlight」は実に味わい深い。恐らくヤングブラッズは曲順にも拘りがあったと思います。
R&B色の濃いジェシ作の⑥「Beautiful」。
洒落た音楽をやっていると思ったら、実に黒いサウンド。こんなブルーアイドソウル的なナンバーも彼等の持ち味なんですね。バンド演奏も熱い!
この曲なんかはラスカルズを彷彿させます。ヤングブラッズってラヴィン・スプーンフルとラスカルズを足して2で割って、ちょっと洒落た感じにしたようなサウンドです。
元メンバーのジェリーとフェリックス・パパラルディ、フェリックスの奥さんとの共作の⑧「Rain Song (Don't Let the Rain Bring You Down)」。
ジャグ・バンド風なアレンジは如何にもラヴィン・スプーンフルっぽい。前作がフェリックスのプロデュースでしたので、この曲は前作からのアウトトラックだったのかもしれません。間奏の雨模様のコラージュとか、軽快なギターワークとか、結構好みの作品です。
彼等の代表曲とも呼ばれている⑬「Ride the Wind」。イントロからローウェルのエレピが心地良い。先に紹介した「Sunlight」のような優しいボッサ。アップしたライブでの演奏はギターレスなので、よりエレピが強調されてますね。それにしてもジェシはソウルフルに歌ったかと思ったら、こうした曲では優しく歌えるし…。ベースプレイもなかなか。実に器用な方ですね。
バンドは1972年に解散。1984年には再結成ツアーも行ってますが、ヤングブラッズとしてのアルバム発表にまでは至らなかったようです。ジェシはソロとしても成功し、つい1年ほど前の2020年11月にもセルフカバーアルバム「Highway Troubadour」を発表しております。ジェシのアルバムもいずれご紹介出来ればと思ってます。
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