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Jackson Browne「Jackson Browne」(1972)

古くて新しいもの、そんな言葉がぴったりのジャクソン・ブラウンのデビューアルバム。当時、時代を切り開いて行こうとしていたアサイラム系のミュージシャンの連帯感を感じさせるアルバムです。
本人たちにはそんな意識はなかったのかもしれませんが、70年代初頭の、ベトナム戦争の厭世感漂うなかで、光を見出そうとしていたアサイラム系ミュージシャン。そんなミュージシャンの筆頭格がジャクソン・ブラウンでした。

デビュー前、ジャクソン・ブラウンはネッド・ドヒニー等と何度かデモ・テープを制作し、デビューのタイミングを窺っていたのですが、なかなかその時は来ませんでした。しかし乍ら、デビュー前からクオリティの高い彼の楽曲は、業界人の間では知られるところとなっていたことから、ついに発表されたそのデビューアルバム(つまり本作)のサブ・タイトルに「Saturate Before Using(使用前から既に浸透)」と付けられていることは有名な話ですね。

私の大好きな①「Jamaica, Say You Will」。
何がいいかって、その切ないメロディと地味ながらもシブいアコースティックな演奏が堪りません。バックは当時JTサウンドの要となっていたLeland Sklar(B)とRuss Kunkel(Ds)。特にLelandのメロディアスなベースが光ります。またClarence Whiteはここではアコギで友情出演してます。そうですね~、この曲、Clarenceが在籍していたバーズの「Byrdmaniax」でカバーされていました。

どこか初期イーグルスの香り漂う②「A Child in These Hills」もいいですね。いい味出しているハーモニカはニッティ・グリッティ・ダート・バンドのJimmie Fadden。ニッティ・グリッティも好んでジャクソン・ブラウンの楽曲をカバーしていたバンドです。

シングルヒットした④「Doctor My Eyes」。この軽快なリズムとポップなメロディはやはり秀逸です。リズム隊の2人がいい仕事をしてます。あとJesse Ed Davisのいぶし銀ギターもシブくてかっこいい!
この曲はなぜかジャクソン5がカバーしていましたね(笑)。

JB流ノリノリロックの⑦「Under the Falling Sky」も大好きです。
本当はエレキを思いっきり歪ませたロックでやればかっこいいのですが、あくまでもアコースティックタッチなこのヴァージョンもいいです。Albert Leeがギターで参加してます。
これはボニー・レイットがカントリーブギーロックに仕立ててカバーしました。

⑨「Rock Me on the Water」も永遠の名曲ですね。
レココレのJB特集を見ていたら、JBについて「西海岸でも際立っていたソウルフルな歌声」と題する記事があり、この曲の後半、次第にゴスペルタッチに盛り上がってくるところがノーザンソウルっぽいとありましたが、なるほど、この曲、そういう解釈も出来ますね。

このアルバム、青春時代に聴いていた方は特に印象深いものでしょうね。独特のメロディと詞、ほろ苦い思い出にぴったりの楽曲です。デヴィッド・ゲフィンを中心としたアサイラムは、確実に時代を切り開いていきました。

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