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佐野元春「SOMEDAY」(1982)

80年代の佐野元春の超名盤。まあ、今更こんな名作をご紹介するまでもないのですが・・・。でもひょっとしたらこのアルバムを知らない若い方々が居られるのではないかと思い、ご紹介する次第です。

Amazonのレビューでも圧倒的に5つ星評価が多いですね。でも2つ星、1つ星なんて評価もありますが、こうした評価を読むのも結構楽しみだったりします。なぜそう思うのか・・・、個人的にはこのアルバムはJ-POP史上の金字塔的アルバムだと思っているので、自分とは違う意見の評は気になります。それぞれのアルバムの評価はまさに十人十色なんですよね。

さて(私の中では)名作「SOMEDAY」、佐野さんのサードアルバムであり、自身初のセルフ・プロデュースのアルバムでもあります。前2作は伊藤銀次氏の協力の下、制作かれた感が強かったのですが、このサードアルバムで佐野さんは自らの力を試すのです。
伊藤銀次氏のインタビューによると、前2作とこのアルバムの違いはドラムが固定化されたこと、これが大きいと語ってます。そのドラマーこそ古田たかし氏ですね。私も彼の小気味いいドラムワークは大好きです。

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まずはアルバムトップは名曲①「シュガータイム」。
レコーディングバージョンは完全なJ-POP的な仕上がりですね。もっと尖がった佐野さんが好きだという方にとっては物足りないのかもしれません。ただポップス好きの私にとっては堪りませんが…。

名曲は続きます。②「ハッピーマン」。
これがアルバムトップに持ってきてもいいのでは・・・と思ってしまうくらいシャープな楽曲。この佐野さんの独特の歌い方、後の吉川晃司なんかは完全に影響を受けていますね。

このアルバムのなかではあまり語られることの少ない曲の④「二人のバースデイ」。
結構私的には大好きな楽曲。リズムがちょっとAOR的だったりして。ギターもレイ・パーカー・Jr風なところを感じさせます。こうしたポップス、いいなあ。
山下久美子とのデュエット音源をアップしておきます。

もう何の説明も不要でしょう、アルバムタイトルの⑥「SOMEDAY」。
私は未だにこの曲をふとした瞬間に聴きたくなります。そして元気を貰います。私と同じように感じる方も多いのではないでしょうか。
80年代前半に音楽を聴きまくっていた方、そしてもう音楽は聴いていないなあと思っている方、久しぶりに「SOMEDAY」を聴いてみませんか。
佐野さんはあるコンサートで「10代には10代、20代には20代、…50代には50代の『いつかきっと』があるんじゃないかって、最近思い始めている」と目に涙を浮かべながらこの曲を歌ったそうです。分かりますね~。
この映像の観客の方々も時代を反映した格好で若い…。

沢田研二に提供した⑦「アイム・イン・ブルー」、⑨「ヴァニティ・ファクトリー」。彼の1980年に発表したアルバム「G.S.I LOVE YOU」に収録されてます。
これらの楽曲提供が縁で、このアルバムのエンジニアであった吉野金次と知り合い、吉野氏は「SOMEDAY」のエンジニアを務めることとなります。
「アイム・イン・ブルー」は地味な曲ですが、結構、詞も味わい深く、吉川晃司もカバーしております。

そして「SOMEDAY」と同じくらい本作のハイライト的楽曲が⑩「ロックンロール・ナイト」。
激しく揺さぶられますね。ブルース・スプリングスティーンの二番煎じとかいうご意見も目にしますが、それでもこの圧倒的な存在感は心を動かされますよ。
恐らく尾崎豊もこの曲に感化されたものと推察されます。

これら素晴らしい楽曲を聴くにつれ、このアルバムが駄作と言い切れるご意見もあることに違和感を感じてしまいます。いろいろなご意見があるものです。

さて佐野さんですが、このアルバムと同時進行であの「Niagara Triangle vol.2」を制作していたんですよね。70年代のシティ・ミュージックの息吹が着実に80年代に受け継がれていった瞬間だと思います。


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