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Gary Wright「Footprint」(1971)

暑い日が続きます。皆さん、如何お過ごしでしょうか。
今回はチェックしてみたら、意外にも素晴らしい内容だったアルバム(あまりそういうことは少ないのですが)をご紹介します。

ゲイリー・ライト…、このアーチストについて、多くの方は「夢織り人」のヒット曲を連想されると思います。ゲイリー・ライトはキーボーディストですから、この大ヒット曲もエレピが印象的なメロウでスペーシーなバラードでした。私の好奇心もここで止まっており、ゲイリー=興味なし…という固定観念がありました。
ですから彼がジョージ・ハリスンの盟友でもあり、ジョージの多くの作品に参加していたことも、あまり認識しておりませんでした。ジョージ一派の代表格がゲイリー・ライトだったのかもしれませんね。

ゲイリー・ライトはスプーキー・トゥースのメンバーだった人物で、1969年に脱退後、セッション活動を開始してます。
本作は彼のセカンド・アルバムですが、ちょうどこの頃、ジョージの大名作「All Things Must Pass」にゲイリーは参加しております。そしてジョージはその御礼とばかりに本作にプロデューサーとして関与しており、スライドギターも随所に聞かせてくれてます。

「All Things Must Pass」の影響なのか、この作品、かなりスワンプな味わいがあります。私はゲイリー・ライトがここまでスワンプ的な楽曲をやる方だとは知らなかったので、正直ビックリでした。ちなみに本作の参加ミュージシャンですが、ジョージを筆頭に、クラウス・フォアマン(B)、ジム・ゴードン(Ds)、アラン・ホワイト(Ds)、ボビー・キーズ(Sax)の「All Things Must Pass」組、他にヒュー・マクラッケン(G)、ミック・ジョーンズ(G)、ジム・ケルトナー(Ds)等々。豪華ミュージシャンが参加しております。

その「All Things Must Pass」風な味わいのあるブリティッシュ・フォークな②「Two Faced Man」。
こちらはジョージとコラボしている貴重な映像がありました。ドラムはBryson Graham、ベースはArchie Legget。そしてギターは後にフォリナーを結成することとなるMick Jones!。
ゲイリーは本作発表後に自身のバンド、Wonderwheelを結成します。このバンドはゲイリーのファースト、そして本作のプロモーションのためのバンドでしたが、そのバンドが映像の3人。そこにジョージが参加したものですね。

こちらはブレッドを思わせるようなバラードの③「Love To Survive」。
デヴィッド・ゲイツのような声質、でもサビに向かうに連れて、やっぱりジョージっぽい気もします。皆さんはどう感じられたでしょうか?
この曲、楽曲は単なるポップスですが、やっぱりバックの一流のミュージシャンが参加しているだけあって、かなり味わい深いです。特にオーケストラが加わってくる中盤からの盛り上がりはジョージっぽい。曲が終わったと思ったら、また続きます。この間奏の盛り上がりにより、実はこのメロディも味わい深いものがあることが分かってきます。

このアルバム、個人的にはA面よりも、B面のナンバーに惹かれてしまいます。
B面スタートの⑤「Stand for Our Rights」はドラムが力強く、ちょっと土臭くもあるゴスペルタッチなナンバー。
ここでの聴き所はやはり間奏のボビー・キーズのサックス・ソロから更に盛り上がってくるサビのパート。バック・コーラスも加わり、そのままの盛り上がりでエンディングに向かって駆け抜けていきます。この疾走感を煽っているドラムもいいですね~。ジム・ゴードンのプレイでしょうか。

本作中、一番ハードな⑥「Fascinating Things」は、もう少しギターにディストーションをかけるとハードロックになるかもしれません。
ゲイリーのヴォーカルがマイルドなので、さすがにハードロックにはなり得ませんが、かなりギターのリフも激しい。そしてこの曲を挙げた理由ですが、それは中盤以降にあります。中盤以降のギターのリフ、直ぐに分かりますよね(笑)。コレ、レッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」ですね。ゲイリーってこんな曲も作れるし、とても器用なミュージシャンなんですね。

エンディングトラックはちょっとアーシーな⑧「If You Treat Someone Right」で本作は幕を閉じます。
ジョー・コッカーがやりそうな楽曲&アレンジですね。ちょっと仰々しいようなゴスペルタッチなコーラス、力強いピアノ、メリハリの効いたリズム隊、まさにスワンプ。こちらも私の好みです。

ゲイリー・ライトはこの後、少し間をあけて、1976年に「The Dream Weaver」の大ヒットを記録しますが、こちら、並び以降の作品はあまり興味をそそられないかなあ。

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