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Deep Purple「Come Taste the Band」(1975)

昨日トミー・ボーリンの記事をアップしたら、やはりディープ・パープルの「Come Taste The Band」も再評価して頂きたい思いが強くなり、こちらをアップしました。このアルバム、一般的にはリッチー・ブラックモア脱退後の「評価されていない」パープル作品と捉えられてます。でもパープルという既成の枠を取り払うと、かなりいいアルバムなんですよね。

トミーがディープ・パープルに加入するきっかけは、イアン・ペイスの自宅にジョン・ロードが遊びに来ていたときに偶然ビリー・コブハムの「Quadrant 4」を聴き、2人がトミーのギタープレイに惹かれたことが直接のきっかけらしい。ジェフ・ベックも嫉妬心を抱いたという驚愕のトミーのプレイをアップしておきます。
トミーのギターは2分前後から登場しますが、確かに縦横無尽に滅茶苦茶弾いてます(決してハードロックなギターじゃないですが)。

リッチー・ブラックモアがパープルを脱退したのが1975年4月。一旦パープルは解散するのですが、前述の通り、イアン・ペイスがビリー・コブハムでのトミーのプレイを聴き、6月にはトミーはパープルに加入。
本作は1975年8月から1ヶ月余りで収録されたもの。

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さすがに1曲目の「Comin' Home」は往年のパープルらしい1曲に仕上がってますね。何となくトミーのプレイもリッチーを下敷きにしている感じですね。

もともとロジャー・グローバーの後釜に加わっていたグレン・ヒューズは妙にソウルフルなフィーリングを持つベーシストでしたが、その彼にトミーのファンキーなプレイが加われば、そりゃパープルでは無くなりますよね。実際ジョン・ロードは本作を「ディープパープル名義で発表すべきではなかった」と語ってます。
それは③「Gettin' Tighter」に顕著に現れてます。この曲、2人の確信犯、グレンとトミーの共作です。そう、デイヴィッド・カヴァデールは加わってません。そしてリード・ヴォーカルはグレン。
ここでのトミーのギター、実にファンキーですね。こりゃ、もうパープルではない。特にアップした音源の1分46秒辺りからのファンキー指数といったら、物凄いものがあります。この時期にこのテのサウンドをやっていたのですから、やっぱり凄いし、実にカッコいい。

⑤「I Need Love」なんかも、なかなかの佳曲だと思うのですが。これはトミーとデイヴィッドの共作。
トミーがスライドギターを駆使してますが、ここではイアン・ペイスの重たいドラミングがかっこいいですね。
あとやっぱりデイヴィッドのソウルフルなヴォーカルが光ります。間奏はまたまたファンキー。第4期パープルの名曲だと思うんですけどね。
やっぱり世間はパープルというとリッチー在籍時のクラシカルなハードロックを求めてしまうのでしょう。

⑥「Drifter」も入魂の1曲。もともとパープルにはソウルフルな臭いはあまり感じられなかったのですが、ここではやはりデイヴィッドのヴォーカルだからでしょうか、実にソウル感覚満点。そして気のせいか、バッドカンパニーやフリーのような感じにも聞こえます。そしてトミーのギターも一癖も二癖もありますね。
個人的には第2期パープルよりも好きかもしれません。

本作からのシングルカットは⑨「You Keep on Moving」。デイヴィッドとグレンの共作です。ちょっとブルージーな、デイヴィッド好みの曲かもしれません。イントロのデイヴィッドとグレンのデュエット、そしてバックのトミーの怪しげなギター、非常にスリリングです。
(なんとこの楽曲のライブ映像、しかも日本公演のものがありましたのでアップしておきます)

結論! このトミー・ボーリン在籍時の第4期パープルの唯一のアルバムはあまりにも過少評価されているように思います。改めて聴くと、パープルに求めるものと違うというのは理解するにしても、ハードロックの歴史に残る名盤だと思うのですが・・・。

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