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Tom Jans「The Eyes of an Only Child」(1975)

リトル・フィートの好サポートが心地よいトム・ヤンスの名アルバム

洋楽、特に70年代ウエストコースト系を深堀していた頃、リトル・フィートの良さを知り、ハウディムーンに感動してました。ということで当時自然とこのアルバムに行き着いた次第です。
ローウェル・ジョージがエグゼクティブ・プロデュースで参加。もちろんフィーツのメンバーも参加しております。他参加メンバーはチャック・レイニー、フレッド・タケット、ジェシ・エド・デイヴィス、デヴィッド・リンドレー、ジェフ・ポーカロ、ジム・ケルトナー、ハーヴィー・メイスン、ヴァレリー・カーター等。豪華ですね~。
本作、カントリー&フォーキーが好きな私にとっては堪らない1枚となってます。

トム・ヤンスは1974年にソロ・デビューを果たしたシンガーソングライター。カントリーやフォーク、場合によってはソウルな一面も持っており、リトル・フィート色が加わることで、セカンドとして発表された本作は見事な仕上がりとなっております。

カントリーといえば哀愁漂うメロディに惹かれる私ですが、①「Gotta Move」のイントロを聴いただけで気に入ってしまいました。所謂ハイウェイソングですが、こんな曲を大音響で聴きながらハイウェイを飛ばしてみたいものです。風景は絶対に砂漠に1直線の道路ですね。

②「Once Before I Die」は軽快なフォークソング。この曲もアメリカの長い長いハイウェイを走りながら噛みしめて聴きたい曲。

この2曲を聴いて、本作、アコースティック系かなと思ったら大間違い。
③「Where Did All My Good Friends Go?」ではボズ・スギャックスの曲と思わせるようなドラムがフェードインで入ってきます。このドラムは恐らくジェフ・ポーカロでしょうね、間違いなく。このリズムキープは彼独特のものです。そして一瞬ドゥービーと間違えてしまうようなギターのカッティング。かなりのファンク・チューンです。それに絡みつくようなディヴィッド・リンドレーのスライドギター。これがいいんですね。間奏部分からスライドギターソロへ流れるところなんか最高です。
気のせいかここでのトムのヴォーカルスタイルは①②と違い、だみ声で雰囲気を盛り上げてますね。私のお気に入りソングです。
(動画が見つからず、アップ出来ずすみません…)

⑤「Struggle in Darkness」ではブルース的な渋い1曲。どこかスティーリーダンを思わせます。だんだんとビル・ペインのムーグ・シンセが盛り上げていきます。この辺は後期リトル・フィートっぽいです。

サザンソウル的なバラード、⑧「Lonely Brother」もいいですね。カントリー系とは違う、ソウルフルな歌い方のトム、なかなか味があります。

クロージングナンバーはタイトル曲⑩「Eyes of an Only Child」。メロウなカントリー&フォーク。またまた強烈にねちっこいスライド・ギターが唸ってます。こうした楽曲、私のツボですね。

私の所有しているCDは「Nice Price Line」シリーズで、ライナーノーツは1992年に書かれているものです。そこには「トムは現在は消息は不明だ」とありますが、既にトムは1984年にドラックにより他界してます(一説には交通事故とも云われてますが)。もっと調べて書いてくれと言いたいところですが、この人については情報が殆どなかったのでしょうね。
トムは本作発表後、1977年に「Dark Blonde」、1982年に「Champion」を発表しますが、特にタイトル曲「Champion」は小田和正との共作とのこと。多分本作とは全く違う内容なんでしょうね。

ジャケットといい、その内容といい、本作は味わい深いアルバムです。

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