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Chicago「Chicago 16」(1982)

昨日のクリス松村さんのラジオ日本「いい音楽あります。」、相変わらず素晴らしい選曲でしたが、そこでオンエアされたシカゴ「Love Me Tomorrow」。懐かしい~と思いつつ、当時ビッグヒットした「Hard to Say I'm Sorry/Get Away」への思いも思い出しました。

このアルバムが発表された1982年という年はAORにとっては微妙な年ですね。
Bozの「シルク・ディグリーズ」が1976年。TOTOのデビューが1978年。エアプレイの名盤発表が1980年。
AORの2大派閥(なんてあるのか?)がTOTO派とデヴィッド・フォスター派だとすると、TOTOの世紀の名盤「TOTOⅣ」発表は1982年4月。そしてデヴィッド・フォスターが梃入れした本作の発表が1982年6月。2大派閥が商業的にも大成功を手に入れた年。それが1982年です。
(ちなみ本作にもTOTO派メンバーが参加してますが)

この後のAORはこれらビッグヒットに振り回されたのか、個人的には商業ロック化していったように感じます。

いずれにしても「TOTOⅣ」も本作も名盤です。TOTOの活動に刺激されて、デヴィッド・フォスターもバンドとしての成功を収めたかったのか?それはわかりませんが、本作は間違いなくフォスターのシカゴです。これが過去からの硬派シカゴファンを大いに驚かせました。

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本作の目玉はもちろんビッグヒットとなった⑤「Hard to Say I'm Sorry/Get Away」に異論はありません。邦題(「素直になれなくて」)も魅力的ですね。でも私が本当にこの曲を好きな理由はこの後にメドレーで続く「Get Away」にあります
「Hard to Say I'm Sorry」はフォスター節全開、かつピーターセテラの甘いヴォーカルが堪能できますが、名曲すぎて逆に商業的かもしれません。その後に続く「Get Away」。「素直になれなくて」からシカゴファンになった方は驚いたでしょう(むしろテープを早送りしていたかも?)。その疾走感溢れるブラス。これがシカゴです。躍動感溢れるキーボードもいいですね。
往年のブラスロックを彷彿させる曲。シカゴの意地が漲ってますよ。
「素直になれなくて」はこの曲が続くことで、甘すぎるものがうまく中和されているような気がします。アップしたライブ映像の後半の「Get Away」、シャウトするピーター・セテラ!これが本来の彼です。

この⑤だけでなく、本作からメンバーとなった私の大好きなビル・チャンプリンが作曲に加わっている⑦「Sonny Think Twice」、⑧「What Can I Say」などもAORとして良作ですね。

もちろん前半2曲。ジェイ・グルスカ/ジョセフ・ウィリアムス作の①「What You're Missing」、ルカサーっぽいフォスター/ルカサー/ペイチ作②「Waiting for You to Decide」もいいですよ。

懐かしの⑩「Love Me Tomorrow」。80年代洋楽の雰囲気漂う名曲。

セテラの甘いヴォーカルにチャンプリンの渋いヴォーカルがクロスオーバーするなど、AORの名盤です。またシカゴの意地であるブラスも随所で鳴っており、フォスターのアドバイスがあったとはいえ、シカゴはうまく自分なりにAORを吸収したと思います。この後シカゴは「シカゴ17」でも同様の路線を歩みますが、やはり私は本作が大好きです。

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