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J.D. Souther「John David Souther」(1972)

初期イーグルスが大好きな私にとってはマストアイテムだったJ.D.サウザーのファーストソロ。
J.D.サウザーは、もともとはイーグルスのグレン・フライとデュオを組んでいた関係で、グレン、J.D.、そしてジャクソン・ブラウンの3人は一緒に住んでいた時期もあります。ジャクソン・ブラウンは一足先にアサイラム・レーベル創始者のデヴィッド・ゲフィンに見いだされ、グレンはリンダ・ロンシュタットのバックバンドを経て、そのジャクソンを頼りにイーグルスのメンバーとしてアサイラムからデビュー。J.D.もそんな人脈から本作発表に至ります。

参加メンバーは盟友ネッド・ドヒニーとグレン・フライ、ベースはブライアン・ガロファロ、ドラムはゲイリー・マラバーが核となったシンプルな編成。J.D.は6番目のイーグルスとも呼ばれた人物で、イーグルスへの貢献も大きかった人物。当然ながら本作は、イーグルス、特にファーストアルバムに近い味わいを持つ作品。曲調はもっと内省的で、フォーキーな印象です。

アルバムトップの①「The Fast One」は当時流行っていたカントリーロックそのもの。イーグルスのファーストに収録されていてもおかしくないくらい、イーグルスっぽい。後にリンダ・ロンシュタットがカバーしていましたね。

②「Run Like a Thief」は親友の恋人とあやまちを犯してしまった話をモチーフとしてます。こうした内省的な歌はJ.D.お得意のパターン。
メロディもヴォーカルも味わい深い。本作はこうした楽曲を中心に組み立てられているため、商業的なヒットには至っておらず、地味な印象を与えますが、いつ聴いても心揺さぶられるメロディがここにはありますね。この曲も後にボニー・レイットがカバーしていましたね。

カントリー風の④「Kite Woman」は素朴なメロディとアコギが素晴らしい。イーグルスの「いつわりの瞳」のようなタッチの作品。

美しいバラードの⑦「It's the Same」。最後の最後で「Angeline」と感慨深く歌ってます。去っていった彼女の名前でしょうか。美しいメロディと相まって、こちらも感情的になってしまいますね。美しいピアノはドラムのゲイリーが弾いてます。

ロックンロールスタイルの⑧「How Long」。あれ、どこかで聴いたことがある、と思ったら、イーグルスが2007年に発表したアルバム「Long Road Out of Eden」でカバーしてました。
この曲はベトナム戦争に対する思いを綴った楽曲で、盟友イーグルスは70年代からライブで演奏していたようです。彼らなりに思いの詰まった楽曲だったのかもしれません。
せっかくなのでイーグルスの貴重なライブ映像をアップしておきます。冒頭喋っているのは私の大好きなバーニー・レドン。グレンじゃないんですね。ドン・ヘンリー&ランディ・マイズナーのコーラスも最高!

ちなみにJ.D.は2011年にセルフカバーアルバム「Natural History」を発表してますが、この作品の中でも「How Long」をカバーしてます。これがまたカッコいい!アコギ感たっぷりのロックンロールです。

イントロのボトルネックギターが沖へ出るイメージを想起させる⑨「Out to Sea」。テキサスで歌っていたが、失意のうちにカリフォルニアへ。自身のことを歌ったような歌詞。J.D.らしい楽曲です。

盟友グレン・フライも、もう故人なんですよね。若いってイメージがあったので、未だに信じられません。J.D.やジャクソン・ブラウン、ネッド・ドヒニーといったアサイラム人脈って、強い絆で結ばれているといった印象なんですが、他の方々にはまだまだ素晴らしい作品の発表を期待してます(J.D.もネッドも寡作な方なんですよね)。

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