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Delaney & Bonnie「Motel Shot」(1971)

スワンプ・ロックの中心的存在だったデラニー&ボニーの5枚目のアルバム。このアルバム、元祖アンプラグド盤と呼んでいいかもしれません。

ツアー中にモーテルのロビーで収録されたと云われているアルバムです。モーテルの中でアンプを通したデカい音など出せる訳もなく、結果的にアコースティックな楽器を手に豪華メンバー、レオン・ラッセルからグラム・パーソンズ、デュアン・オールマンまで参加しております。またクレジットにはないのですが、エリック・クラプトンも参加…と凄いアルバムとなってます。

但しこのモーテルでの録音というのは異説もあり、デラニーのリビングルーム等で、いろいろな時期に録音したリハーサルトラックとも云われてます。本作は、レオンがフューチャーされたゴスペル風な楽曲と、デュアンがフューチャーされたカントリー風な楽曲に大別されますが、、実際、ジョー・コッカーが1970年3月から5月にかけて行われたアメリカ・ツアーでは、レオン・ラッセルが、デラニー&ボニー&フレンズのメンバーであったジム・ゴードンやカール・レイドル、ジム・ケルトナー等を引き抜いて参加。本作の前に発表された「To Bonnie from Delaney」では、デラニー&ボニーはデュアン・オールマンと組んで制作されてます。

つまりレオン参加時期やデュアン参加時期には微妙な違いもあり、本作では収録時期が違うものが混じっているということです。それでもそうしたアウトテイク的な寄せ集めという感じは全くせず、実際に同時期にモーテルのロビーで収録した…と思わせるような素晴らしいアルバムとなってます。

ウィリー・ネルソン等、多くのアーチストにカバーされているトラディショナル・ソングの①「Where the Soul Never Dies」。
レオン・ラッセルの力強いピアノを中心としたアコースティックな演奏で、デラニー&ボニーはカントリー・ゴスペルなアレンジで盛り上げます。。タンバリンがやたらと煩いですね(笑)。
それにしてもヴォーカルが賑やかですよね。皆が思うがままに歌っている印象。大きい声はボニーでしょうか。途中からジョー・コッカーと思しき声も聞こえてきます。コレ、実際に皆が楽しそうに歌っている様子が目に浮かびますよね。

デラニー&ボニーとカール・レイドルの作品の④「Long Road Ahead」。こちらはオリジナル作品ですね。
デイヴ・メイソンがギターで参加。こちらもピアノとアコギ中心で、デラニーの名唄が光ります。徐々にゴスペルタッチの色合いが濃くなっていきます。

こちらもトラディショナル・ソングの⑥「Talkin' about Jesus」。
ジョー・コッカーのシャウトを含めて、如何にもゴスペル・ソングという感じ。このグルーヴ感、堪りませんね。しかもワンパターンな曲調なのに7分近くの演奏。そんな長さを感じさせない圧倒的な迫力。シャウトしまくっている女性はボニーでしょうか。

フォーキーなデラニー作の⑩「Sing My Way Home」。
曲自体は単純な曲で、ほのぼのした演奏ですが、ベースの音が気になりますね(スキャットですかね)。あとやはりデュアン・オールマンのスライドが隠し味となって、曲を引き立ててますね。デュアンはこの曲の他に2曲に参加しております。

デラニー&ボニーとレオン・ラッセルの共作の⑫「Lonesome and a Long Way from Home」は、エリック・クラプトンが1970年に発表したファーストソロに収録されていたナンバー。クラプトン・バージョンはホーンも用いたかなり派手なアレンジに仕上げてましたが、こちらはかなりカントリー風味なスワンプ。途中から登場するジョン・ハートフィールドのフィドルが実にイイ感じです。
本作「Motel Shot」は1971年3月発表なので、クラプトン・バージョンより後の発表ですが、この作品自体はもっと前に収録されたものかもしれませんね。

本作は多くの素晴らしいミュージシャンが参加しております。特に英国ミュージシャンは、こうしたゴスペル的なスワンプに強烈な憧れがあったんでしょうね。

デラニー&ボニーはこの後、離婚してしまい、デラニー&ボニーは解散・・・、以降の2人の活動もパッとしないものでした。それぞれが一緒になったとき、素晴らしさを発揮したのでしょうか。バーズやグラム・パーソンズが牽引したカントリーミュージックの勃興期という時代も良かったのかもしれませんね。

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