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The Beach Boys「Today!」(1965)

ビーチボーイズの「ペット・サウンズ」より前の作品であれば、本作か「Smmer Days」が大好きです。特に本作はたまに聴きたくなる名盤。先日も聴き返していたのですが、う~ん、やっぱりいいアルバムですね。    メンバーがレコーディングに参加する機会が減り、その代わり名セッションドラマーのハル・ブレインが大活躍しています。他にもレオン・ラッセルキャロル・ケイ等名立たるセッションミュージシャンが参加。
つまりブライアン・ウィルソンはブライアン・ワールドを実現すべく、セッションミュージシャンを使いこなしていたわけで、スティーリー・ダンが70年代にやっていたことを、既にブライアン・ウィルソンは1965年にやっていたということですね。

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一般的には本作、⑤「 Help Me, Rhonda」、⑥「Dance, Dance, Dance」といったヒットシングルが収録されたアルバムと捉えられているでしょう。しかし本作の聴きどころはそういったヒットシングルではなく、⑦「Please Let Me Wonder」や⑨「Kiss Me Baby」といったイノセントなブライアン・ワールドでしょうね。

音作りという意味では1曲目の「Do You Wanna Dance」から明らかに従来のBBサウンドとは違います。
もちろんこの曲はボビー・フリーマンの1958年のヒット曲のリメイクですが、とにかく音圧が凄い!ハル・ブレインのドラムがものすごくタイトですね。またティンパニーを用いた打楽器群や圧倒的なコーラスがすごいです。
♪ Do you do you~ ♪のサビ、音の大きさが一段と大きくなり、これぞウォール・オブ・サウンドって感じです。エンディングでのブライアンのファルセットも、これ以上高い音はないという位、劈くようなハイトーンです。
他人の曲をここまで緻密な音作りで仕上げたブライアン。さぞ満足したことでしょう。

楽器の使い方という見地でいえば④「When I Grow Up」のハープシコード、ハーモニカも効果的に使われてますね。
またここでもハル・ブレインのドラム、複雑なリズムを叩いてます。この時代のロックとしては非常に珍しいですね。歌詞においては♪ fourteen,fifteen・・・♪と段々年齢を重ねていくんですよね。

白眉はブライアン一世一代の名曲⑦「Please Let Me Wonder」。
何の説明も要らない名曲です。山下達郎氏もカバーしてましたね。
♪ Ah~ ♪ イントロからメロウなBBコーラスの世界。♪ Now here we are together ♪ 
もうこの曲は違う世界ですね。♪ Please let me wonder ♪のコーラスといい、別次元の曲です。最後にI love youと囁くのはカール。永遠の名曲です。

⑨「Kiss Me Baby」も⑦と同様、スィートなBB流バラード。
ドラムが重いですね^^。でもそれがこの曲を一層重厚なものにしております。リムショットも効果的です。
以前サンソンでは山下達郎氏は、「この曲の転調するところがブライアンらしい」と仰ってました。
⑦⑨は前述の通りイノセントなブライアン流バラードであり、胸が締め付けられるような気持ちにさせられます。これぞビーチボーイズ!

これぞビーチボーイズといえば、1966年当時のビーチボーイズのアカペラ映像ありました。この完璧なアカペラ、感動的ですらありますね。ちなみに当時のカールは太っちょでした^^。のちにカールは男前に変貌していきます。

今までのビーチボーイズにはなかったジャージーなバラード⑪「In the Back of My Mind」。
歌うは女泣かせ(?)のデニス。ホーン等もフューチャーした異色作。いろいろな楽器が使われてます。
この曲で終わればいいものの、なぜか会話のみの⑫「Bull Session with "Big Daddy"」がエンディングトラック。これだけは納得できません。

本作でブライアンが尊敬するプロデューサー、フィル・スペクターの織り成すウォール・オブ・サウンドを完全に掌握し、自らの音楽へ昇華させたブライアン・ウィルソン。本作発表後、3ヵ月後に「Summer Days」、そして1966年5月に「Pet Sounds」を発表していくこととなります。
ブライアンにとってはこの時期が一番幸せだった時期なのかもしれませんね

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