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The Lovin' Spoonful 「Hums of the Lovin' Spoonful」 (1967)

今回ご紹介するのは私が大好きなラヴィン・スプーンフル
もともと洋楽にハマったきっかけがモンキーズだったので、60年代ポップスが大好きな私ですが、その流れからラヴィン・スプーンフルのような素敵なポップスが大好きなんです。

村上春樹氏の「走ることについて語るときに僕の語ること」。私は村上春樹氏のエッセイが大好きで、こちらの本も、彼が大好きなマラソンをテーマに書かれた素敵なエッセイ集です。で早速その第一章にラヴィン・スプーンフルの音楽を聴きながら走ることが描かれてます。場所はハワイのカウアイ島、村上氏は毎日欠かさず走っており、その日は「デイ・ドリーム」と「ハムズ・オブ・ザ・ラヴィン・スプーンフル」をMDに入れて、1時間10分走った…と書かれてます。そして「ラヴィン・スプーンフルの音楽はいつ聴いても素敵だ」と仰ってます。ハワイの澄み切った青空の下、BGMとしてのラヴィン・スプーンフル…、のどかな時間が流れる素敵な状況ですね。

「デイ・ドリーム」も名盤ですが、一般的には「ハムズ・オブ・ザ・ラヴィン・スプーンフル」を名盤に挙げられる方が多いのではないでしょうか。

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「グッド・タイム・ミュージック」、彼らの音楽はそう呼ばれてます。古き良き時代のジャグ・バンド・ミュージックやディキシーランド・ジャズ、カントリーなんかがミックスされた独自のフォーク・ロック。すごく素敵な時間が流れるサウンドです。本作は、そういった彼らの音楽が一番堪能できるアルバムで、①「Lovin' You」はその典型的な楽曲。リーダーのジョン・セバスチャンののどかなヴォーカルが味わい深い。一方音のアレンジなんかは結構凝っていて、エンディングではバグパイプみたいな音が出てきて、なんとなく当時流行っていたサイケの要素も感じられます。

⑤「Henry Thomas」はラヴィン・スプーンフルの真骨頂ともいえる楽曲(笑)。こんな楽曲をロックバンドで演奏するのは彼らくらいでしょうか。絶妙な遊び心もあったりして、でも楽曲としてはしっかり聴かせてくれる。聴いていただければわかります!

本作は基本、全作品ジョン・セバスチャンの作品ですが、⑥「Full Measure」はベースのスティーヴ・ブーンとの共作。ヴォーカルはスティーヴでなくて、なぜかドラムのジョー・バトラー。ジョーのヴォーカルもいいです。で、この「Full Measure」が結構、いい作品なんです。彼らにしてはオーソドックスなミディアムテンポなロックですが、それが逆に本作では新鮮。でも実は随所にオルガンとかヴァイヴとかパーカッションとか、彼ららしいアレンジが満載。後段、いったん曲が終わりかけて、溜めて溜めてまたスタートする、このアレンジが大好きです。

ジャグ・バンド・スタイル風カントリーの⑨「Nashville Cats」。彼らの素敵な演奏シーンをアップしておきます。ジョンが持っているのはウォッシュボードっていう楽器です。あれ抱えて歌うロック歌手なんて、いないですよね(笑)。見た目、カッコいいとはいえないし。彼らは世界で一番成功したジャグ・バンドとも呼ばれてます。

ラヴィン・スプーンフル風のハードロックの⑩「4 Eyes」。スライドギターが切り込んできます。こんな曲も器用にこなしてしまうんですよね。これもギターアレンジがカッコいい!

本作って名曲揃いなんで、このエンディングトラックがボーナストラックに聞こえてしまいます。でも彼らの最大のヒット曲が、最後にドンと収録されていることに本作のクオリティの高さを表しているような気がします(この名曲がなくても、アルバムとしては成り立つということ)。その最大のヒット曲の⑪「Summer In The City」。この曲を初めて聴いたとき、なんてカッコいい曲だろうと思ったものです。
従来のジャグ、フォークスタイルとは違う、ブリティッシュロックな香り漂うラヴィン・スプーンフル流ロックとでもいいましょうか。間奏の街並みの喧騒とか、緊張感のある演奏とか、どれもが素晴らしい。

如何でしたか。彼らの代表曲に「Do You Believe In Magic」てあるんですが、私はこれを広い解釈で、音楽の魔法を信じるかい?と解釈しており、自分の基本精神(音楽には魔法がある)に多大な影響を与えた1曲となってます。

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