The Byrds「Ballad of Easy Rider」(1969)
ザ・バーズ…。カントリーロックの祖ですが、一般的にはザ・バーズのカントリーアルバムっていうと、「Sweetheart Of The Rodeo」が有名ですが、私はそのアルバム、ちょっとカントリーのアクが強すぎて、それほど好きではありません。むしろ今回ご紹介する「Ballad of Easy Rider」の方がお気に入りですね。
でもそもそもこのアルバム、どれだけの方がじっくり聴いたことあるでしょうか? ジャケットのイメージから、映画のサントラだと思っていませんでしょうか? 違うんですよ~(今更ですが)。立派なバーズのオリジナル・アルバムなんですよ。メンバー自作曲は少ないものの、実に味わい深いカントリーロックが堪能出来ます。
ジャケットの通り、アルバムトップの①「Ballad of Easy Rider」は、ピーター・フォンダ主演の映画「イージー・ライダー」の主題歌です。ピーター・フォンダは最初、ボブ・ディランに主題歌制作を依頼しましたが断られ、その代わりディランは詞の一部を書いて「これを(バースの)ロジャーに渡してくれ」と伝え、最終的にロジャー・マッギンが本作を書き上げました。その楽曲、プロデューサーのテリー・メルチャーが当時流行っていたニルソンの「うわさの男」風にアレンジ。味わい深い楽曲に仕上がりました。
ベースのジョン・ヨークの作品の②「Fido」。ジョン・ヨークはバーズ在籍期間は1年弱と短いものの、今も音楽活動をされているようです。この曲は、バーズの曲にしては珍しく、途中でジーン・パーソンズのドラムソロがフューチャーされてます。ベーシストの作品らしく、リズミカルなサウンド、かつサザンロックのような力強いバンドサウンドですね。この頃のバーズは演奏力も卓越していて、ライブ映えするバンドでした。
ジーン・パーソンズとクラレンス・ホワイトがアレンジした③「Oil In My Lamp」は、原曲はいわゆる「賛美歌」ですね。1964年にEric Monty Morrisがスカ調のアレンジで歌い、ヒットさせてます。ここではクラレンスがヴォーカルを務め、かなり粘着質なカントリーロックに仕上げてます。
ちなみにジーンとクラレンスはお互いが盟友とも呼べる存在で、バーズ加入前は二人共、ナッシュヴィル・ウェストで活動してました。先にバーズにクラレンスが誘われ、クラレンスが「自分のギターと合うドラマー」としてジーンを紹介した経緯にあります。ジーンって、実家が機械工場で、彼自身もエンジニア志向が強かったようです。その機械いじり、機械マニアが功を奏し、クラレンスの依頼に応じて、例のセカンド・ストリング・ベンダーを設計から試作まで開発。実はジーンって単なるドラマーではなく、スゴイ人だったんですよね~!!!
こちらはロジャーの味わい深いヴォーカルが堪能出来る④「Tulsa County Blue」は、ロジャーの作品ではなく、パメラ・ポランドの作品。後に本作のプロデューサーのテリー・メルチャーも、1976年に発表した自身のセカンドソロでカバーしております。
⑥「Jesus Is Just Alright」は一聴して「ドゥービー??」って思ってしまいますね。The Art Reynolds Singersのカバーですが、原曲はかなりソウルフルに、かつゴスペルタッチに歌い上げたもの。ドゥービーはアート・レイノルズではなく、完全にバースのカバーですね。
せっかくなのでライヴバージョンをアップしておきます。こちらのベースはジョン・ヨークではなく、スキップ・バッテン。この当時のバーズのライブ、カッコいいです。迫力もありますね~。この映像、なぜかクラレンスがあまり映っていないのが残念ですが。
本作のハイライト!と勝手に思っている作品が⑨「Gunga Din」。実に爽やかなカントリーソング。こちらはジーン・パーソンズの作品。もちろんヴォーカルもジーン。彼、機械いじり屋さん、かつドラマー、かつ素晴らしいソングライターでもあります。特にエンディングの爽やかなギター(クラレンス?)と豪快なドラムがいいんですよね。
どうですか、このアルバム。私はすっかり見落としていましたが、かなりいい作品です。ロジャー・マッギンが目立っていない点が評価を落としているのでしょうか。でも4人のメンバーのヴォーカルが堪能出来、それぞれが素晴らしいのです。いいアルバムです!
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