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Carpenters 「As Time Goes By」 (2001)

ロン・タットがお亡くなりになられました。恐らく殆どの方がロンのことはご存じないかと思いますが、一般的にはエルビス・プレスリーのバックバンド(TCBバンド)のドラマーというイメージが強いのではないでしょうか?

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でも私にとってはカーペンターズのロン・タットのイメージが強いんですね。ただ、カーペンターズの音源で、実際にロンが叩いているものは意外なほど少ない。カレン存命中に発表されたものではありませんが、有名なところでは「Rainbow Connection」でしょうかね。

ということで今回は「Rainbow Connection」を含む編集アルバムの「As Time Goes By」をご紹介致します。

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このアルバム、カレンが亡くなって、18年後に発表された未発表曲集。
カーペンターズは5本の音楽特番を制作しているのですが、ここに収録された殆どの楽曲は、これら特番で披露されたものです。このアルバムが発表された当時、⑬「Rainbow Connection」がTBS系のドラマ「恋がしたい恋がしたい恋がしたい」の主題歌となったので、それがキッカケで発表されたアルバムといえます。
「Rainbow Connection」は1979年に公開された映画『マペットの夢みるハリウッド』の劇中歌で、ケニー・アスチャーとポール・ウィリアムスの共作。もちろんポール・ウィリアムスとは、カーペンターズに名曲を提供していたソングライター。このテイクは1980年に発表されたアルバム「Made In America」のアウトテイク。ポールらしい美しいメロディの楽曲ですね。実はロンのドラムはそれほど目立つものではありませんが。

本作は「Rainbow Connection」が目玉の楽曲かなと思いきや、実は他の収録曲も聴き所が多いんですよね。まずはまずはオープニングの①「Without A Song」。
これは1980年の「ミュージック・ミュージック・ミュージック」というTV特番からのもの。このイントロがまた素晴らしいアカペラチューンなんですね。実際の特番映像では途中からエラ・フィッツジェラルドとジョン・デイヴィッドソンが登場します。あ~、なんかアメリカの音楽番組らしくて、いいですね。クリスマスの時期に聴くと心温まります。

同じく「ミュージック・ミュージック・ミュージック」から、④「I Got Rhythm」。これ、音源だけだと魅力が伝わらないかもしれません。ここの聴き所、いや見どころはロン・タット顔負けの、後半のカレンのドラミングです。
最初はガーシュィンのナンバーなんでムーディーなジャズナンバーでスタートしますが、ここはやっぱりカーペンターズ。カレンのダンスも披露されて、3分5秒過ぎから、カレンが素晴らしいスネアプレイを聴かせてくれます。やっぱりカレンはドラマーなんですよね。

3本目の特番は「スペース・エンカウンターズ」という番組。1978年に放送されたようです。ここからご機嫌なナンバー、⑤「Dancing In The Street」を。
原曲はもちろん1964年にヒットしたマーサ&ザ・ヴァンデラスですが、ここでのアレンジも、オリジナルヴァージョンをアレンジしたポール・ライザーです。そしてドラムはロン・タットのプレイです。

カーペンターズは1974年にペリー・コモのクリスマス・スペシャル番組に出演しております。そこでカレンとペリーは見事な歌を披露しておりますが、そのメドレーが本作の11曲目に⑪「Carpenters/Como Medley」として収録されております。YouTubeにもその時の映像がアップされておりました。カーペンターズはエンタテイナーでもあったんですね。古き良きアメリカって感じです。

1976年の「Carpenters Very First Television Special」という特番では、なんとも贅沢なヒットメドレーを披露。これも⑭「Hits Medley 76」として収録されてます。しかも映像までアップされているんですから、いい時代になりました。こうして今でもカレンが見れるんですからね。

本作にはシークレットトラックが収録されております。それは⑮「And When He Smiles」という曲で、1971年9月のBBCの特別番組で披露されただけで未発表に終わった曲。
これがまたなかなかの楽曲。ちょっとカントリータッチな、当時のカーペンターズらしいポップスですね。
カレンがドラムを叩きながら歌ってます。カッコいい!

本作は確かにオリジナルアルバムでないけど、内容は実に濃いアルバム。編集盤だから価値はないなんて評価をされるのはちょっと違うかも。
ただちょっと物憂げなジャケットのカレンの表情が気になります。個人的にはもうちょっと元気溌剌なカレンの表情をアップしてほしかったですね。

カーペンターズでのロン・タットのプレイはあまり聴けないので、プレスリーでのプレイを聴いて、彼を追悼したいと思います。


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