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Peter Allen「Bi-Coastal」(1980)

AOR本には必ずと言っていいほどこのアルバム、ご紹介されてます。発表は1980年。AOR全盛期、そしてプロデューサーはもちろんデヴィッド・フォスター。AORオールスターズがバックを固めてます。
ピーター・アレン自身も売れっ子ライターで、この作品発表後、キャロル・ベイヤー・セイガー等と共作したニューヨークシティ・セレナーデがビッグヒットを記録します。

典型的なAOR、このイントロを聴いただけでデヴィッド・フォスター・プロデュースとすぐ分かります。①「One Step Over the Borderline」。
リチャード・ペイジとスティーヴ・ジョージのペイジス・コーラスが効いてますね。印象深いデヴィッド・フォスター節のピアノはトム・キーン。ドラムがちょっと重たい感じがしますが、これはエド・グリーンのドラムです。

②「Fly Away」はピーターが竹内まりやに提供した楽曲ですが、ここではちょっとクールに、ともすると同じ曲??と思わせるアレンジです。でもサビはやっぱりあの素晴らしい ♪ Fly Away ~ ♪が聴けます。
ちょっと怪しげな映像をアップしておきます。
ゲイ・シンガー、ピーター・アレンらしい映像です^^。なんで腹筋しているんでしょう(笑)。立ち姿も妙に色っぽい。う~ん、思わずフレディを連想してしまいました。

アルバム・タイトル・チューンの③「Bi-Coastal」は軽快なAORナンバー。
ジェリー・ヘイ・アレンジのホーンとパウリーニョ・ダ・コスタのパーカッションが気持ちよく疾走感を演出します。歌い方、どことなくマーク・ジョーダンっぽい。ニューヨークとカリフォルニア、両方好きという歌詞はバイセクシャルを連想させますね。

なんか妙に気に入ったのが⑧「Simon」。そしてこの歌詞は非常に印象的です。これは僕にやさしかったsimonが、初めて愛した女の子と駆け落ちし、それを複雑な心境で応援しているという楽曲なんです。つまり自伝的な要素が強いんですね。
そしてこの曲を1968年に歌ったのがライザ・ミネリ。そうです、ピーターの元奥さんです。ライザ・ミネリはジュディー・ガーランドの娘ですが、もともとはオーストラリアで歌っていたピーターをアメリカへ連れて行ったのがジュディーだった訳で、そういった関係でライザと知り合ったのでしょう。

本作中、私のいちばんのお気に入りは⑨「Pass This Time」。
跳ねるリズムはジェフが得意とするところ。ジェフ・ポーカロの軽快なドラミングが堪能出来ます。
ハーモナイズド・ギター・ソロが出てきます。まさかこれはジェイ・グレイドン?? やっぱりそうでした。この曲だけジェイは参加したようです。それにしてもジェイのソロはすぐに分かります。
この曲を聴いていたらマーク・ジョーダンを思い出しました。特にこの曲のピーターのヴォーカルはマークそっくりですね。というかこの演奏の面子だとマークのブルーデザートに収録されていてもおかしくないですね。

本当に素敵なアルバムです。アマゾンの評価を拝見していたら、これはAOR好きにはいいが、詩人ピーターのアルバムではないといった評価がございました。確かにデヴィッド・フォスター色が強すぎるかもしれません。でもピーターの素晴らしい楽曲が素材として生かされており、個人的にはこれはこれでピーターのアルバムでもあると思ってます。

ピーターは1992年6月18日、エイズのため48歳でご逝去されてます。

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