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The Beach Boys「Wild Honey」(1967)

夏本番…って感じですね。暑い!在勤していても暑くて身が入らない。それなら出社した方が仕事が捗りますね…。

で、夏はやっぱりビーチボーイズ。ご存じのようにビーチボーイズの中核(というかビーチボーイズそのもの)のブライアン・ウィルソンが、「ペッサウンズ」制作後、ドラッグとアルコール漬けとなり、廃人同然となってしまった時、イニシアティブを握ったのが実弟のカール・ウィルソン。一説にはこの「Wild Honey」、2週間程度で制作してしまったとも云われてます。従来のビーチボーイズからは想像も付かないR&B色の濃い内容に、多くの、いや殆どすべてのリスナーから総スカンを喰らってしまったという名盤(?)。

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ビーチボーイズといえば「サーフィンUSA」のような、どこまでも明るいロックンロールとコーラス。そういった音楽を期待するリスナーを思いっきり裏切るような①「Wild Honey」。アルバムトップからR&B色の濃い楽曲。リードヴォーカルはカール・ウィルソン。この時、若干20歳。まだまだヴォーカルには青白い部分が見られます。間奏のオルガンソロもなんだか不思議なソロです。

初期ビーチボーイズと「ペットサウンズ」のビーチボーイズは、別の音楽と考えてもいいかもしれません。この④「Country Air」は「ペットサウンズ」を好む方からすれば、名曲に聴こえるかもしれません。実に不思議な楽曲です。この楽曲にはずっと低く鳴っているノイズが入ってます。これが意図的に入れているのは明らかで、ブライアンにはそういった音も表現のひとつと捉えていたと思われます。

もしビーチボーイズは断然初期が大好きという方がいれば、この⑥「Darin'」が本作では唯一気に入って頂ける楽曲かもしれません。当時はこの「Darin'」だけを聴くために、本作を買ったという方も多かったかも。
実はこの曲、1963年にブライアンとマイクが作った楽曲で、当時のタイトルは「Thinkin' About You Baby」。マイクのガールフレンドだったシャロン・マリーに提供した楽曲でしたが、全くの不発。後のスリードッグナイトのレッドウッドに提供しようとしましたが、それも幻に終わり、ようやくここに陽の目を見たという楽曲。それにしては超名曲です。私はすべてのビーチボーイズの楽曲の中でも、5本の指に入る名曲と信じてます。
この曲、ドラムのフィルが随分上手いなあと思ったものです。デニス・ウィルソンのドラムって、ものすごく走るんですが、ここでのドラムはタイトに、グルーヴ感を醸しだした名演。実は叩いているのはハル・ブレイン…、やっぱりなあって感じです。
この当時のカールのヴォーカルはまだまだ成熟していませんが、後にライヴではハイライトとなる名曲。原曲の下にアップした映像は1980年のネプワーズでの名演なんですが、カールの歌の上手いこと!しかもカッコいい。やっぱりデニスのドラム、走ってますね~。

「ペットサウンズ」の流れを汲んだ⑨「Let The Wind Blow」。イントロの暗さ(笑)。これが「ペットサウンズ」ですね~。恐らくブライアン以外にこのテの曲は作れないでしょう。どういった発想で、こんな曲が作れるのか。バックの演奏も素晴らしいし、本作の白眉と言っていいかもしれません。

本作のエンディングで、ようやく、ようやくホッとさせられるのが⑪「Mama Says」。これは「スマイル」に収録された「ヴェジタブル」という楽曲の一部。当時は未発表だった「スマイル」、ここで素晴らしい音源の一部が発表されたんですね。全編素晴らしいアカペラです。

よく考えたら、夏らしいアルバムではなかったですね(苦笑)。ビーチボーイズはこれから苦難の道を歩むのですが、数年後にライブバンドとして復活します。70年代のビーチボーイズも個人的には大好きです。

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