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Paul Davis「Singer Of Songs - Teller Of Tales」(1977)

たまに聴きたくなるAOR。そんな時は田中康夫著「たまらなく、アーベイン」という本を紐解き、好きな音楽をチョイスします。この本、各曲についての簡単なエッセイが載っており、その選曲はかなりマニアック。田中康夫さんといえば「なんとなく、クリスタル」。映画化もされ、その映画のサントラにはポール・デイヴィスの「I Go Crazy」が収録されてました。もちろん「I Go Crazy」もこの本に記事がしっかり掲載されております。

ちなみにその「なんクリ」のサントラの収録曲にはランディ・ヴァンウォーマー「Call Me」、TOTO「99」、デヴィッド・ポメランツ「The Old Song」、ボズ・スギャックスは「We Are All Aione」「You Can Have Me Anytime」等々が収録されてました。

ということでポール・デイヴィスを久しぶりに聴き返しております。「I Go Crazy」が収録された彼の5枚目のアルバム。このアルバムのジャケット、あれ?、こんな感じだったかなあ。なんかイメージが違います。

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と思ったら、日本では1981年に「なんクリ」効果だったのか、ジャケットが差し替えられて発売されてました。また1980年に発表されたポールの6枚目のアルバム「Paul Davis」は、タイトルが「パステル・メッセージ」という意味不明なタイトルに変えられてました。この「パステル・メッセージ」が日本でのデビューアルバムということのようです。ですから本作「Singer Of Songs - Teller Of Tales」は1977年当時は日本では未発売ということですね。
それにしてもオリジナルジャケットは、確かに「I Go Crazy」の世界観とあまりにもかけ離れてますね。ちなみに本作の日本のジャケットのイラストは、ポール・デイヴィスと同姓同名の方が描いたものらしいです。

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多くの方が聞き覚えのある①「I Go Crazy」。とにかくその容姿と歌声・美メロのギャップに驚いてください(笑)。あとロック・ファンならこの曲のサビの終わりのメロディが、あるロックバンドのヒット曲と似ていることに気付かれるでしょう。そのヒット曲は1979年12月に大ヒットしているので、「I Go Crazy」が先ですね。
映像を見るにつけ、この甘い歌詞も、この髭オジサンが書いたとは…。

ポール・デイヴィスは元々はカントリー系のシンガーソングライターなんですが、徐々にポップス寄りな曲を発表するようになります。70年代だとEngland Dan & John Ford Coleyみたいな楽曲といえば分かりやすいでしょうか。恐らく硬派な70年代ロックファンからすると、総スカンを喰らってしまいそうな音なんですが(笑)、ポップス好きな私としてはかなり好みな音です。②「I Never Heard The Song At All」なんかはその典型的なサウンド。

ビーチボーイズが大好きな私にとっては③「Darlin'」はポール・ディヴィスがどうアレンジするのか、気になるところでした。
アップした動画から推測するに、シングルカットされたようですね。正直、原曲をすこしアップデイトしたような音にはあまり興味がそそられません。しかし曲の途中、ちょっと転調して女性ヴォーカルが…。
Featuring Susan Collins…、スーザン・コリンズ…、SSW系の方のようですが、実にハスキーでパンチのあるヴォーカル。ポール・ディヴィスがどちらかというと甘いヴォーカルなので、スーザンとの対比が実に心地いい。特にエンディングにかけての2人の掛け合い…、この辺りが聴き所でしょうか。

続く④「Sweet Life」はそのスーザン・コリンズの作品。これがまたいい曲なんですよ~。
カントリー系から派生したようなポップスでしょうか。こういう曲は好き嫌いが分かれそうですが、70年代ポップスが大好きな私にとってはこのテの楽曲は大好物(笑)。
ハスキーヴォイスのスーザン、どうしても我慢できず、最後の最後でソロパートをワンフレーズだけ歌ってます。
スーザン・コリンズ、いい曲書く方ですが、全く名前聞かない方ですね。声質からするとカントリー系、ジュース・ニュートン辺りと同じような感じの方なのでしょうか。

カントリーポップの⑦「I Don't Want To Be Just Another Love」。
この曲なんかはジュース・ニュートンそっくり。ポール・デイヴィスの場合、「I Go Crazy」やのちの「Cool Night」ばかりが注目されてしまい、彼の音楽がAORというカテゴリーに括られてしまったのですが、こっちが本来のポールの姿。カントリーポップの王道じゃないでしょうかね。

ちなみに田中康夫氏の「たまらなく、アーベイン」というのはこんな本です。私のバイブルとなっております。

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